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ミステリ感想-『本格ミステリ01』アンソロジー

2002年10月23日 | ミステリ感想
~収録作品~
紅雨荘殺人事件  ――有栖川有栖
鳥居の赤兵衛  ――泡坂妻夫
四角い悪夢  ――太田忠司
子供部屋のアリス  ――加納朋子
邪宗仏  ――北森鴻
人を知らざることを患う  ――鯨統一郎
正太郎と井戸端会議の冒険  ――柴田よしき
エッシャー世界  ――柄刀一
黒の貴婦人  ――西澤保彦
中国蝸牛の謎  ――法月綸太郎
透明人間  ――はやみねかおる
オリエント急行十五時四十分の謎  ――松尾由美
龍の遺跡と黄金の罠  ――三雲岳斗


~感想~
『紅雨荘殺人事件』
終盤すこしごたついた。処理がうまければ、好印象だったろうに。

『鳥居の赤兵衛』
こうして並ぶと筆力が別格。そつなくまとめ上げた職人技巧に感嘆。

『四角い悪夢』
心理が安っぽく、感慨を抱けない。

『子供部屋のアリス』
↑との対比が面白い。

『邪宗仏』
素材の良さを筆力・構成が台無しに。

『人を知らざることを患う』
あいかわらず。氏は大嫌いなのでノーコメントで。

『正太郎と井戸端会議の冒険』
本書中、最も丁寧に編まれた好編。謎の提示から伏線、展開とスムースに流れる。

『エッシャー世界』
古式蒼然たる●●トリックには意表をつかれたが。

『黒の貴婦人』
解決後にページが残っているので逆転を期待していたら……あれれ?
シリーズファン以外にはさっぱり通じないだろう描写も多く、本書に取り上げたことに疑問を感じる。

『中国蝸牛の謎』
どうして(ネタバレ→)「下から上」とわざわざルビを振っているのか意味不明。

『透明人間』
軽妙さと陳腐・安っぽさは紙一重だとしみじみ思う。これは前者。謎も真相もなかなかの結実。

『オリエント急行十五時四十分の謎』
状況が非常に解りづらく、思わず斜め読み。トリックも好きになれない。

『龍の遺跡と黄金の罠』
ファンタジィに予想外の拒絶反応が出てしまった。トリックもこれはちょっと……。


~総括~
毒舌ばかり並んだが、これもミステリを愛するがゆえ。
00年の収穫、シリーズの出発がこのていたらくでは嘆かわしい。


02.10.23
評価:★ 2
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