小金沢ライブラリー

ミステリ感想以外はサイトへ移行しました

ミステリ感想-『パラダイス・クローズド』汀こるもの

2008年01月17日 | ミステリ感想
~あらすじ~
周囲の者が次々と殺人や事故に巻き込まれる死神体質の魚マニア・美樹と、それらを処理する探偵体質の弟・真樹。彼ら美少年双子はミステリ作家が所有する孤島の館へ向かうが、案の定、館主密室殺人に遭遇。犯人は館に集った癖のあるミステリ作家たちの中にいるのか、それとも双子の…?最強にして最凶の美少年双子ミステリ。第37回メフィスト賞受賞作。
※コピペ


~感想~
本格をブチ壊す異才がまたしても登場。メフィスト賞はこうでなくては。
本格のコードというコードを茶化し否定し粉々に砕く。その姿勢は解決編に至っても貫き通し、前代未聞の決着を見せてくれる。
さすがに衝撃度ではかの清涼院流水には及ばない(及んでも困るが)ものの、誰もやらないことをやってのけたのには素直に拍手を送りたい。
ただ、小説としての完成度は極めて低い。
昨今の新人賞はなんらかの専門知識がないと獲れない風潮らしいが、メフィスト賞にもその波は押し寄せ、全編にわたってお魚雑学が繰り広げられており、読んでいて面白いのはお魚トーク部分だけという有様。
平易な文体のわりにものすごく読みづらく、底の浅いネタと寒い独り語りで終始、空回りしっぱなし。
本格ミステリの新たなる刺客としては興味深いが、小説としては完全に失敗という極端な作品。文章さえもうちょっとなんとかなっていれば……。


08.1.17
評価:★★ 4
コメント