~あらすじ~
城下の掘割に現れる女の姿を見た者は必ず死ぬという噂が囁かれる折、掘割で家老が闇討ちされた。
怪談嫌いの甚十郎と、酒と怪談を愛する浪人左門が、闇に溶け込んだ真実を暴く。
第38回メフィスト賞受賞作。
~感想~
どうしてこれが『パラダイス・クローズド』と一緒に刊行されてしまうのか首をひねりたくなる。さすがはメフィスト賞、面目躍如といったところか。
まさに時代小説とミステリの幸せな結婚。よく舞台が江戸なだけのもどき小説を見かけるが、その点では心配ご無用。確かな筆力を備えた作者は、ミステリに寄り過ぎず、時代小説に傾き過ぎず、絶妙なバランスを保っている。
やはりトリックなどは一目で解ってしまうような代物だが、もともと時代小説は予定調和を愛でる部分もあるもの。なんら問題はない。
バリエーションに富んだ数々の怪談。魅力的な人物造形。これだけの腕があれば時代物にとどまらずなんでも書けるだろうが、やはり次作は続編を期待したい。楽しみな作家がまたできた。
08.1.22
評価:★★★★ 8
城下の掘割に現れる女の姿を見た者は必ず死ぬという噂が囁かれる折、掘割で家老が闇討ちされた。
怪談嫌いの甚十郎と、酒と怪談を愛する浪人左門が、闇に溶け込んだ真実を暴く。
第38回メフィスト賞受賞作。
~感想~
どうしてこれが『パラダイス・クローズド』と一緒に刊行されてしまうのか首をひねりたくなる。さすがはメフィスト賞、面目躍如といったところか。
まさに時代小説とミステリの幸せな結婚。よく舞台が江戸なだけのもどき小説を見かけるが、その点では心配ご無用。確かな筆力を備えた作者は、ミステリに寄り過ぎず、時代小説に傾き過ぎず、絶妙なバランスを保っている。
やはりトリックなどは一目で解ってしまうような代物だが、もともと時代小説は予定調和を愛でる部分もあるもの。なんら問題はない。
バリエーションに富んだ数々の怪談。魅力的な人物造形。これだけの腕があれば時代物にとどまらずなんでも書けるだろうが、やはり次作は続編を期待したい。楽しみな作家がまたできた。
08.1.22
評価:★★★★ 8