~あらすじ~
高校時代に同級生3人とともに結成したアマチュアバンドは、細々と続けて14年になり、メンバーのほとんどは30歳を超え、ギタリスト姫川の恋人・ひかりが叩いていたドラムだけが、彼女の妹・桂に交代していた。
姫川は父と姉を幼い頃に亡くしており、二人が亡くなったときの奇妙な経緯は、心に暗い影を落としていた。ある冬の日曜日、練習中にスタジオで起こった事件が、姫川の過去の記憶を呼び覚ます。
~感想~
過ちと正しさが、そっくり同じ顔をしているのであれば、誰がそれを見分けられるというのだ。
「本格で人間を描ける」俊英がものした傑作。
前作『ソロモンの犬』よりも青春小説としてさらに(登場人物の年齢は上がっているにもかかわらず)濃く、ミステリとしての切れ味も増している。
道尾秀介はなんといっても第二撃がうまい。凡百の作家ならばフィニッシュブローとするだろう一発だけで終わらないのだ。
鋭い右ストレートを受けて倒れかけたところで、さらに強烈な左のアッパーが見えない位置から飛んでくる。
本書ではさらにその後もフックの連打を浴びせかけ、やすやすとはリングに這わせてくれない。
あなたが見ている物語は、その物語のひとつの側面でしかない。『シャドウ』再び。
08.1.26
評価:★★★★☆ 9
高校時代に同級生3人とともに結成したアマチュアバンドは、細々と続けて14年になり、メンバーのほとんどは30歳を超え、ギタリスト姫川の恋人・ひかりが叩いていたドラムだけが、彼女の妹・桂に交代していた。
姫川は父と姉を幼い頃に亡くしており、二人が亡くなったときの奇妙な経緯は、心に暗い影を落としていた。ある冬の日曜日、練習中にスタジオで起こった事件が、姫川の過去の記憶を呼び覚ます。
~感想~
過ちと正しさが、そっくり同じ顔をしているのであれば、誰がそれを見分けられるというのだ。
「本格で人間を描ける」俊英がものした傑作。
前作『ソロモンの犬』よりも青春小説としてさらに(登場人物の年齢は上がっているにもかかわらず)濃く、ミステリとしての切れ味も増している。
道尾秀介はなんといっても第二撃がうまい。凡百の作家ならばフィニッシュブローとするだろう一発だけで終わらないのだ。
鋭い右ストレートを受けて倒れかけたところで、さらに強烈な左のアッパーが見えない位置から飛んでくる。
本書ではさらにその後もフックの連打を浴びせかけ、やすやすとはリングに這わせてくれない。
あなたが見ている物語は、その物語のひとつの側面でしかない。『シャドウ』再び。
08.1.26
評価:★★★★☆ 9