~あらすじ~
連続殺人は序章にすぎなかった。
警察庁長官官房でマスコミ対策を担う竜崎伸也。その朴念仁ぶりに、周囲は〈変人〉という称号を与えた。だが彼はこう考えていた。エリートは、国家を守るため、身を捧げるべきだ。私はそれに従って生きているにすぎない、と。
吉川英治文学新人賞受賞作。
~感想~
こんなに典型的な、にもかかわらず魅力的な官僚がかつていただろうか。
このミス20位にランクインしているが、ミステリ的な要素はほぼ皆無。
起こる事件に謎はなく、主人公の竜崎は事務方だけに、捜査にたずさわることもない。だが物語はその事件を中心に動き、その時々で竜崎に迫られる決断が読む者を引きつけてやまない。
だが構成やストーリーの行方もさることながら、この小説の真の魅力は竜崎という特異な人物の造型にあり、彼の一本芯の通った、だがそれゆえに奇抜な言動や、選択の数々が、非常に面白いのだ。
そういった意味では今作は純然たるキャラ小説であり、どこまでも官僚的で、いついかなる時も正論を放ち、それがしかも本音とリンクしている竜崎というキャラを産み出した時点で、大成功を収めたと言えるだろう。
09.6.4
評価:★★★☆ 7
連続殺人は序章にすぎなかった。
警察庁長官官房でマスコミ対策を担う竜崎伸也。その朴念仁ぶりに、周囲は〈変人〉という称号を与えた。だが彼はこう考えていた。エリートは、国家を守るため、身を捧げるべきだ。私はそれに従って生きているにすぎない、と。
吉川英治文学新人賞受賞作。
~感想~
こんなに典型的な、にもかかわらず魅力的な官僚がかつていただろうか。
このミス20位にランクインしているが、ミステリ的な要素はほぼ皆無。
起こる事件に謎はなく、主人公の竜崎は事務方だけに、捜査にたずさわることもない。だが物語はその事件を中心に動き、その時々で竜崎に迫られる決断が読む者を引きつけてやまない。
だが構成やストーリーの行方もさることながら、この小説の真の魅力は竜崎という特異な人物の造型にあり、彼の一本芯の通った、だがそれゆえに奇抜な言動や、選択の数々が、非常に面白いのだ。
そういった意味では今作は純然たるキャラ小説であり、どこまでも官僚的で、いついかなる時も正論を放ち、それがしかも本音とリンクしている竜崎というキャラを産み出した時点で、大成功を収めたと言えるだろう。
09.6.4
評価:★★★☆ 7