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ミステリ感想-『サニーサイド・スーサイド』北國浩二

2010年12月19日 | ミステリ感想
~あらすじ~
「この中の誰かが自殺する」すみれが予知したのは、誰が自殺してもおかしくない壊れかけた心の生徒たち。
7人の中にいる自殺者を探し求めるが、ついにその日がやって来た。傷ついた誰かに気づくことはできるのか。


~感想~
昨年話題となった『リバース』の続編的な位置づけ。とにかく「惜しい!」という感想。
SF的な設定で、自殺を目論む誰かを追う、というストーリーは(全く話題にならなかった)辻村深月『名前探しの放課後』とかぶるが、こちらは自殺候補の7人の視点が目まぐるしく入れ替わり、時系列をバラバラに配した凝った構成で、最後の仕掛けも全く違うため、印象はまるで異なる。
しかし作り込みに甘さが見え、まず盲点に隠された"犯人"は意外だが、他の自殺候補たちと比べると、その動機がどうしても弱く思える。読み返すとたしかに要所要所で伏線は張られているのだが、思春期の自殺の動機としては十全としても、ミステリの真相としてはあまりに弱い。
揚げ足取りになるが、「こんな友達ならいらない、というかこんなことするヤツは友達と呼ばない」という結末や、口実を設けてすみれに自殺候補者たちと握手させるとか、候補者たちに好きなCDを持ってこさせてサイコメトリーさせればいいんじゃね? という身も蓋もない疑問が湧くことや、作中で最も外道なヤツに報いがないどころか後日談すらないことの手落ち具合など、物語としての甘さが目についてしまった。
面白く読めはしたものの、個人的には合わない作品であった。


10.12.12
評価:★★☆ 5
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