小金沢ライブラリー

ミステリ感想以外はサイトへ移行しました

映画感想―『ソルト』

2010年12月27日 | 映画感想


~あらすじと感想~
いやー酷い酷い。今年観た映画の中で一番酷かった。いや今年どころか今まで観た映画の中でも屈指の酷さ。
頭のてっぺんから足の爪先まで糞な映画なので、遠慮なくネタバレするためいちおうご注意をば。

まず冒頭。アンジェリーナ・ジョリー演じる女スパイ・ソルトが北朝鮮兵に下着姿でリンチされている。
脱がせよ。なぜ無駄に紳士的なんだ。
なお次の場面で一気に時間が飛ぶため、このリンチシーンがどこにつながるのか少々わかりづらいが、冒頭に据えておきながら、ソルトがリンチを受けたという出来事はたいして重要な意味もないので、忘れても構わない。

つづいて謎めいたロシア人の男がCIAに捕まり尋問を受けるが、そのさなか、ロシア男はソルトがロシアとアメリカとの二重スパイだと明かす。それを聞いたソルトはろくに弁解もせずいきなり逃走を始めるため、面食らってしまうが、先にネタを割るとソルトは実際に二重スパイであり、ロシア男はソルトの組織のボスで、ソルトに蜂起をうながしに来たのだ!
なぜボスが自らのこのこと敵中に入り込んできて、一スパイに連絡しに来るのか、敵に捕らわれる以外に連絡方法はなかったのか、この方法だとソルトはもちろんお前も危険じゃないのかとか、百の疑問が湧いてしまうが、ソルトも、そしていつの間にかボスも無事に逃走するので心配は無用である。
ちなみにソルトは履いていた下着を監視カメラにかぶせるというファンサービスをしてくれるが、別にパンツを選ぶ理由もないと思う。

辛くも逃げのびたソルトは、ロシア首相の暗殺を目論む。そのために変装をするのだが、それがなんと髪を黒く染めただけという始末。切れよ。っていうかそれは変装じゃなくてオシャレだ。
葬儀に出席したロシア首相を狙うソルトは、会場の地下に潜み、床を爆破して首相を地下に落とすという斬新すぎる手法(なぜか無傷で、しかもソルトの目の前に落ちてくる光景はシュールすぎる)で、目的を遂げた。
それによりロシアとアメリカは緊張状態に陥り、核戦争の危機を迎えるのだった……。念のために言うが、ロシアのスパイだの核戦争だのが横行しているが、これは21世紀の現代の話である。

任務を果たしたソルトはロシア男たち同志に迎えられた。しかしそこで恋人をいきなり殺されたソルトは、怒り心頭で同志を皆殺しにしてしまった。展開クソ早ええ。
しかし初志貫徹の人であるソルトは、同志の遺志を受け継ぎ、今度はアメリカ大統領を狙う。何がしたいんだよこのヒロインはと頭を抱えたくなるが、とにかくソルトは先行していたスパイの協力を得て、鉄壁のセキュリティーを誇る地下シェルターに挑む。
ソルト「どうやってシェルターに潜入するの?」
協力者「こうするのさ!」
言うやいなや、協力者はなんと自爆テロで吹っ飛び、混乱に乗じてソルトはエレベーターの通路を利用するという古典的な手段で地下深くに侵入した。
今しも核ボタンが押されようとしていたとき、実はロシアの潜入スパイだった大統領の側近が裏切り(くり返すが現代が舞台である)、大統領を気絶させその他の全員を撃ち殺してしまう。
そこに現れたソルトは思わぬ同志の登場に喜ぶが、ここでネタばらし。なんと彼女はロシアスパイたちの陰謀を打ち砕くための三重スパイだったのだ!
ソルトは核ボタンが押されるのを必死に食い止める! 実はロシア大統領を暗殺していないし、ロシアスパイ以外は殺していないのだが、多数のアメリカ人(民間人含む)に重傷を負わせていたことなど振り返りもせず戦う!
そしてロシアスパイを葬り、核戦争の危機を防いだのだが、今までのうさん臭すぎる行動(実際に多くの被害は出してる)から二重スパイの疑惑を解かれていない彼女は拘束され、ヘリで移送される。
だが付き添いの元同僚に、彼女は真実をほのめかす。「私は世界を救った。そしてこれからも世界の危機を救うために戦う」
証拠もクソもないソルトの言葉を無邪気に信じた元同僚は、なんとソルトをわざと逃がしてしまい(もうちょっと待てば大統領が意識を取り戻して潔白を証明してくれるのに)かくてソルトは孤独な戦いを続けるのであった……。

えーと。アメリカはこの映画でいったいなにをどうしたかったのかな?
これは本当に現代を舞台にしなきゃ描けなかったのかな?
どうして21世紀にもなってロシアのスパイを暗躍させたのかな?

なぁにこれぇ。


評価:問題外
コメント