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ミステリ感想-『クドリャフカの順番』米澤穂信

2010年12月30日 | ミステリ感想
~あらすじ~
待望の文化祭が始まった。だが折木奉太郎が所属する古典部では大問題が発生。手違いで文集「氷菓」を作りすぎたのだ。
部員が頭を抱えるそのとき、学内では奇妙な連続盗難事件が起きていた。盗まれたものは碁石、タロットカード、水鉄砲……。
この事件を解決して古典部の知名度を上げるべく、省エネ主義者の奉太郎は事件の謎に挑むはめに。古典部シリーズ第3弾。


~感想~
米澤ミステリらしい変……ひねくれた人物たちが織り成す、一風変わった青春模様が楽しい。
「刷りすぎた冊子」をめぐる販売戦略と「暗躍する謎の怪盗」という魅力的な二本の主線を据えながら、本筋を離れたクイズ大会やお料理対決などでさすがはラノベ畑の軽妙な筆が冴え、見どころが数多い。
折木や千反田だけではなく、シリーズ初となる里志や摩耶花の視点も交え、ひんぱんに入れ替わることで、お祭りらしいにぎやかさが演出されているのもお見事。
あとがきで「主役は文化祭そのもの」と言うとおり、文化祭というレベルを通り越して、どこかのテーマパークに紛れ込んだようなお祭り騒ぎがとにかく楽しい。事件なんか起きなくたってかまわないくらいに。
……でもこんなに全校あげて盛り上がる文化祭なんてこの世に存在するだろか?


10.12.27
評価:★★★☆ 7
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