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ダメミス感想-『届かぬ想い』蘇部健一

2011年03月21日 | ミステリ感想
~あらすじ~
小説家を夢見る小早川嗣利(こばやかわつぐとし)は、美しい妻と可愛い娘に囲まれ幸せに暮らしていた。
だが、ある日娘が誘拐され行方不明となる。やがて生まれた二人目の娘も不治の病に……。
重なる悲劇に意気消沈する嗣利は、幸せな家庭を取り戻せる方法があると知る。愛する娘のため、嗣利は遠い世界へと旅立つが……。


~感想~
あの蘇部健一が真面目に描いちゃった、という時点で爆死は決定しているのだが、良くも悪くも予想通りの出来にしあがっている。
最近の「六とん」でくり返し使われているアレを主軸に据え、「六とん」の数々の短編ですげー見覚えのある展開をふんだんにまぶして、強引に長編に引き伸ばしたような印象。
文章はいまさら言うまでもなく全力でダメ。しかし潔いほどに一直線にストーリーだけを追う展開は、40分足らずで読めてしまうリーダビリティを備えた。
人道的な意味でやっちゃいけない最悪のオチ、40分で一気読みすれば気づけないトリック、このジャンルならばたいていの物は楽しめてしまう性質のせいか、僕は意外にも面白く読めてしまった。
とはいえこれは特殊なケースだと思われるので、一般的な読者は手出し無用。「蘇部健一の描く純愛(?)物語」という特異すぎるジャンルに興味のある方だけどうぞ。


11.3.21
評価:★★☆ 5
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