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ミステリ感想-『東京輪舞』月村了衛

2020年02月04日 | ミステリ感想
~あらすじ~
新人刑事の砂田修作は、かつて田中角栄宅の警備を務め、闖入者を阻止し直接ねぎらわれた。だが角栄の名声はロッキード事件で地に落ちる。
東芝COCOM違反、ソ連崩壊、地下鉄サリン、長官狙撃……首都東京で巻き起こる数々の事件に砂田の運命も翻弄される。

2018年このミス8位


~感想~
昭和~平成の世相や数々の事件を一人の公安刑事の生涯とともに描く意欲作。いまいち乗り切れなかったがラストシーンは最高だった。よく考えてみると完全にインド映画の手法なんだけども。
乗り切れなかった理由は某サイト(※あまり有名になって欲しくないので匿名としておく)の丸眼鏡の女とネタがかなり被り、しかもあっちの方が面白かったからだろうか。
本作はなんせ実在の事件、それも未解決含むを扱う上で、不透明な煮え切らない決着ばかりだが、あっちは個人サイトの強みで真相を用意できるのだから分が悪い。
また主人公は「平成など無かった」と振り返るが、その翌年に葉真中顕が逆に平成しか無い「BLUE」を書いたのは興味深い。個人的な好みでは完全に「BLUE」に軍配を上げるものの、月村了衛の刑事物にハズレがあるわけないので、読めば普通に面白いことは保証する。


20.2.1
評価:★★☆ 5
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