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ミステリ感想-『警視庁草紙』山田風太郎

2020年07月05日 | ミステリ感想
 

本格ベスト22位、東西ベスト(2012)67位

~感想~
なぜか本格ベスト100で連作短編ミステリ始祖の「明治断頭台」を上回る22位にランクインし、ミステリ短編としても読めるものもあるが、分類するなら明らかに時代小説。ミステリとして何かを期待すべきではない。
だがそこはチート作家の山田風太郎、ただの時代小説ではなく、明治初頭を舞台に、現実の事件を下敷きにして、歴史上の人物たちがありえたかもしれない活躍を歴史の裏側でする、今風に言うなら幕末~明治アベンジャーズとでも言うべき稀有の作品になっている。
しかもそこへ半七親分…は脇役どまりだったが、隅の老人ら当時の名探偵まで登場してしまう。歴史上の有名人の名前が次々と飛び出しては事件に意外な関わりをし、ただの脇役かと思ったキャラが実は歴史上の大事件で重要な役割を果たして見せる、歴史好きにはたまらない作品である。


20.7.5
評価:★★★☆ 7
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