~あらすじ~
大学生の詠彦は、叔母で天才論理学者である硯に自分が巻き込まれたという事件を相談する。
だがその事件はすでに名探偵たちによって解決済だった。果たしてその推理が合っているのか否か? 硯は論理学を駆使して検証する。
2015年メフィスト賞
~感想~
後に「その可能性はすでに考えた」と「探偵が早すぎる」でブレイクする作者のデビュー作。
天才で天然で美女で独身で甥コンで色々こじらせている、属性てんこもり硯と、彼女にほのかな恋心を抱く詠彦の軽快なやりとりがラブコメさながらで、しつこい面もあるが素直に楽しい。
ウリとなる論理学がガチ中のガチで、素養のない読者には数学の教科書となんら変わりないが、推理の要点はごくごく普通に名探偵の推理の瑕疵を一言で指摘するもので、ぶっちゃけ論理学すら必要ない。
単体でミステリ長編の主役を務められる名探偵たち(現に3話目の名探偵の上笠丞は「その可能性はすでに考えた」の主人公)がしくじり、硯が真相を見抜く流れでは名探偵の立場が無い気がするが、そこにもきちんと理由が付けられ、同時に連作短編集としての仕掛けも浮かび上がるのはお見事。
事件の真相はかなりしょぼ…ゆるく、トリックは単独で短編を担えるものですらないが、キャラの濃い叔母甥と論理学の味付けで、充分に読めるものになっている。
次作ではこれだけ濃いメンツをあっさり放棄して上笠丞を主役に据えたのは大正解ながら、このコンビはまた読んでみたいものである。
20.7.21
評価:★★★ 6
大学生の詠彦は、叔母で天才論理学者である硯に自分が巻き込まれたという事件を相談する。
だがその事件はすでに名探偵たちによって解決済だった。果たしてその推理が合っているのか否か? 硯は論理学を駆使して検証する。
2015年メフィスト賞
~感想~
後に「その可能性はすでに考えた」と「探偵が早すぎる」でブレイクする作者のデビュー作。
天才で天然で美女で独身で甥コンで色々こじらせている、属性てんこもり硯と、彼女にほのかな恋心を抱く詠彦の軽快なやりとりがラブコメさながらで、しつこい面もあるが素直に楽しい。
ウリとなる論理学がガチ中のガチで、素養のない読者には数学の教科書となんら変わりないが、推理の要点はごくごく普通に名探偵の推理の瑕疵を一言で指摘するもので、ぶっちゃけ論理学すら必要ない。
単体でミステリ長編の主役を務められる名探偵たち(現に3話目の名探偵の上笠丞は「その可能性はすでに考えた」の主人公)がしくじり、硯が真相を見抜く流れでは名探偵の立場が無い気がするが、そこにもきちんと理由が付けられ、同時に連作短編集としての仕掛けも浮かび上がるのはお見事。
事件の真相はかなりしょぼ…ゆるく、トリックは単独で短編を担えるものですらないが、キャラの濃い叔母甥と論理学の味付けで、充分に読めるものになっている。
次作ではこれだけ濃いメンツをあっさり放棄して上笠丞を主役に据えたのは大正解ながら、このコンビはまた読んでみたいものである。
20.7.21
評価:★★★ 6