小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『密室の如き籠るもの』三津田信三

2009年05月18日 | ミステリ感想
~収録作品~
首切の如き裂くもの
迷家の如き動くもの
隙魔の如き覗くもの
密室の如き籠るもの


~感想~
短編よりも長編向きの作家かなーと思わせる初の短編集。
といっても表題作は長編ばりの分量で、中盤までは怪奇味をふんだんに凝らした構成で、謎めいた女とコックリさん、奇妙な予言と完全無欠の密室と盛り上がるのだが、刀城言耶が密室講義を始めるや全てが台無しになった感。
明らかにテンポを悪くし、せっかくの怪奇味を吹き飛ばしてしまう、ガチでヲタな講義は明らかに蛇足。トリックも真相も、全てが解決してなお残る怪異もどうでもよくなってしまった。
他の短編3つも、雰囲気を出し切る前に事件が解決してしまい、トリックも二番煎じと古色蒼然で食傷気味。
じっくりと好きなだけ書かせたほうが腕をふるえるのではなかろうか。


09.4.28
評価:★★☆ 5
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DVD感想―『パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド』

2009年05月10日 | 映画感想

~あらすじ~
シリーズ3部作の完結編。


~感想~
説明無用の三部作の完結編。
それだけに、単純な娯楽映画だったシリーズが、もう子供はもちろん大人も把握できない複雑な展開を見せてしまい、絡み合った人間関係やストーリーを、理解するのも大変。
誰と誰が敵で、誰の目的はなにで、誰は誰の味方なのかもわからないまま、物語はどんどん進んでいくが、細けえことはいいんだよと、シリーズを重ねるごとに派手になっていく展開を見ているだけでも、とりあえず楽しめてしまうのはさすがディズニー映画。
ところでさんざん引っぱった●●は結局、巨大化しただけでなんにもしてなかったと思うんだけどどうか。


評価:★★★ 6
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DVD感想―『パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト』

2009年05月08日 | 映画感想

~あらすじ~
呪われた海賊バルボッサとの闘いを乗り越えたジャック・スパロウ。
しかし彼は、幽霊船フライング・ダッチマン号の船長デイヴィ・ジョーンズに魂を奪われようとしていた。
13年前、ブラックパール号を手に入れるためジョーンズと“血の契約”を交わしていて、その契約の刻限が迫り……。


~感想~
前作よりも磨きがかかったジャック・スパロウのキャラ立ちと、謎あり冒険ありモンスターありチャンバラありの怒涛の展開で最後まで引っぱってくれる。
思いっきり「次回へつづく!!」なラストはあんまりだが、三部作の真ん中を担う作品として文句のつけようのない出来であろう。


評価:★★★☆ 7
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DVD感想―『ナショナル・トレジャー2 リンカーン暗殺者の日記』

2009年05月07日 | 映画感想

~あらすじ~
歴史学者にして冒険家のベン・ゲイツは、彼のもとを訪れた古美術商からある驚きの情報を知らされる。
今なお多くの謎に包まれているリンカーン大統領暗殺事件の犯人による日記の一部が発見され、そこには暗殺の真犯人としてベンの祖先トーマス・ゲイツの名が記されていたという。
大統領暗殺者の末裔という汚名を着せられてしまったベンは冤罪を晴らすべく、仲間とともに調査を開始する。


~感想~
前作の反省(?)をふまえスケールが大幅にアップ。名所めぐりや、冒険よりも盛り上がるスパイ的な盗みのテクニックもあいかわらずで、中だるみが一切ない。
ディズニー映画だけに重い展開もなく、敵役もいつの間にか特に説明もなくいいヤツになっていたりと、家族で安心して見られる娯楽作品に仕上がっている。


評価:★★★☆ 7
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DVD感想―『ナショナル・トレジャー』

2009年05月04日 | 映画感想

~あらすじ~
歴史学者にして冒険家のベン・ゲイツ。彼は何世代にも渡るゲイツ家の夢を継ぎ、ある伝説の秘宝を追い求めていた。
だがその秘宝は1779年、独立戦争の真っ只中のアメリカで忽然と消えてしまう。ベンは、合衆国独立宣言書に署名した最後の生存者がベンの先祖に残した言葉を手掛かりに、謎を探る。


~感想~
明らかに「インディ・ジョーンズ」を意識した作品だが、スパイ映画のような盗みの描写や、2時間ドラマのような名所めぐりを絡ませ、独自色を出すことに成功している。
とにかくテンポが早く、暗号も謎もちょっと頭をひねれば解いてしまい、次から次へと場面が転換して飽きさせない。
おしむらくはスケールがやや小さめで、結局のところ都市部の狭い範囲を行ったり来たりしているだけなのがネックだが、たいした問題ではあるまい。
主役がニコラス・ケイジだけにアクションよりも策謀に重きを置いた、新たな冒険映画の佳作の誕生である。


評価:★★★ 6
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DVD感想―『ボーン・アルティメイタム』

2009年05月03日 | 映画感想

~あらすじ~
ある日、イギリスの大手新聞に記憶を失ったスパイ、ジェイソン・ボーンの記事が載る。そしてその担当記者ロスから、CIAの極秘計画トレッドストーンをアップデートした“ブラックブライアー”という計画の存在を知らされるのだが……。


~感想~
最近のシリーズ物の映画は、前作を観ていることが前提のものが多いが、これもその類で、冒頭から説明無用の展開なのでどうか第一作から観てほしい。
ボーンの新しさは、スパイ映画にありがちの超人的な戦闘能力やハイテク機器を排し、その場その場の状況に応じた作戦を瞬時に組み立て、身の回りの物を活用して窮地を突破していくことにある。
危機に陥ったボーンが周囲に目を走らせ、なんの変哲もないタオルや雑誌を手に取っただけで、いったいそれをどう使うのかと期待を持たせ、しかも予想だにしない活用法を見せてくれるのが醍醐味である。
前二作をふまえた展開に、映画史に残るド派手なカーチェイス、最高に後味のいい結末と、申し分のない傑作で、シリーズを重ねるごとに完成度が高まっているのもさすが。
当初は三部作と予定されていたが、続編の製作も決まったそうで、非常に楽しみである。


評価:★★★★ 8
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DVD感想―『ボーン・スプレマシー』

2009年05月02日 | 映画感想

~あらすじ~
CIAの諜報員パメラ・ランディは、内部で起きた公金横領事件を調べていた。
しかし何者かに襲撃され、重要資料を奪われてしまう。
採取した指紋を照合し犯人を特定、そこには新生活を送るボーンの名が浮上するのだが……。


~感想~
雑誌TUEEEEEEEEEEEEEEEE!!!

大団円で幕を閉じた前作を引きついだ、最悪の幕開けから一気に引き込まれる。
ボーンのチート全開な能力はもちろん健在で、あらゆる強敵やピンチを、卓越した状況判断力ではねのけていく、ただ肉体的に強いだけではないスパイ像が斬新かつ面白い。
幕開けが幕開けだけに、終始暗い雰囲気が立ち込めるが、やはり大団円に落ち着くストーリーもいい。前作を超えた正統な続編である。


評価:★★★★ 8
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映画(DVD)感想―『 M:I‐2』

2009年05月01日 | 映画感想

~あらすじ~
ジョン・ウー監督によるシリーズ第2作。
休暇中のイーサンのもとに緊急指令が下った。それはテロ集団に奪われた致死細菌"キメラ"の奪回。早速新チームが編成されるが、そこには見知らぬ女盗賊・ナイアの名があった。不審に思いながら、イーサンは彼女に接近を図る。


~感想~
よくも悪くもジョン・ウー作品に仕上がっている。
いつからイーサンは中国武術の達人になったんだろうと思うような、激しい格闘はもちろんのこと、お約束の二丁拳銃、多用されるスロー演出、舞い上がる白いハトと、もうお腹いっぱい。
なんだかスパイ映画というより「沈黙のミッション・インポッシブル」とか「イーサン無双」と呼ぶべき無敵っぷりで、そういえばせっかくチームを組んでいるのに、イーサン以外は運転手とハッカーとヒロインという取り合わせで、そりゃあイーサンが一人で暴れるしかないよなと納得したりしなかったり。
ともあれアクション映画としては(MI2である必要がまるでないのだが)普通に面白い作品である。


評価:★★★☆ 7
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