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ミステリ感想-『弁護側の証人』小泉喜美子

2009年05月21日 | ミステリ感想
~あらすじ~
ヌードダンサーのミミイ・ローイこと漣子は八島財閥の御曹司・杉彦と恋に落ち、玉の輿に乗った。しかし幸福な新婚生活は長くは続かなかった。義父である当主・龍之助が何者かに殺害されたのだ。真犯人は誰なのか?
弁護側が召喚した証人をめぐって、生死を賭けた法廷での闘いが始まる。「弁護側の証人」とは果たして何者なのか?
日本ミステリー史に燦然と輝く、伝説の名作がいま甦る。
※コピペ


~感想~
これはすごい。ぜひ事前情報や先入観なしで読んでもらいたい。
知っておくべきことは二つだけ。
本書は46年前、1963年に刊行された作品だということと、知る人ぞ知る幻の名作だということ。
どこがすごいのかというと、解説の道尾秀介の言が見事なので拝借すると「絵を描いたのはあなた」なのだ。
とにかくお試しあれ。

↓ネタバレ↓
こんなに奇をてらっていない(ように見える)トリックは珍しいのではないか。
こういったトリックを仕掛けた場合、作者はいかに効果的に種明かしをするかに頭を悩ませるだろう。
ところが小泉喜美子は、それをいたってこともなげに、自明のことのように明かしてみせる。
気がついたら足元に爆弾が転がっていたようなさりげなさで、不意に炸裂した爆風に驚き「ちょっと待て、お前らちょっと待て」とページを戻り、すべてはこちらの思い込みだったと気づかされるのだ。



09.5.15
評価:★★★☆ 7
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