~あらすじ~
事件はなぜ起こったか。殺されたのは「誰」で、いったい「誰」が殺人者だったのか。
超高層マンションで凄惨な殺人事件が起きた。室内には中年男女と老女の惨殺体。そして、ベランダから転落した若い男。
ところが、四人の死者は、そこに住んでいるはずの家族ではなかった……。ドキュメンタリー的手法で現代社会ならではの悲劇を浮き彫りにする、直木賞受賞作。
~感想~
いまさら言うまでもなく宮部みゆきという作家は実に多才で、ミステリはもちろんSFや時代小説から怪談までなんでも書ける力があるが、一方で奇抜な趣向を凝らした作品をしばしばものす。
たとえば『長い長い殺人』では語り手を財布が務めたり、某傑作では物語が最高潮を迎えた瞬間に終わらせたりと、意表をついてくれる。
この『理由』もその系譜に連なるだろう異色の作品で、全編がノンフィクションのような実録インタビュー形式でものされているのだ。
が、今回ばかりは失敗だったのではなかろうか。
まずインタビュー形式ということで、どうしても記述が淡々と流れてしまい、長大な分量とあいまって単調さを感じてしまう。
100人以上の人物が登場し、その生活や人生の一端を垣間見せ、それぞれ独立したエピソードとして読ませるが、数が多すぎて当たり外れが出てしまう。また、不満を抱えている人物ばかりで、ほぼ全編にわたって延々と愚痴を聞かされているだけじゃないかと思えてくるのも厳しい。
ノンフィクション形式(というか週刊誌の実録もの)に付きまとう、うさん臭さもぬぐい切れない。
そしてこれだけ長い物語を締めくくるのが、とっくに解っていた事実の再確認・焼き直しで、なんらの意外性も新事実も提示せず、とどめに真犯人の人物像にいたっては「根っからの悪人でした! 動機なんてねーよ! m9(^Д^)プギャー!!」と言わんばかりの有様で、思わず本を床に叩きつけた始末。
やっぱり直木賞は作品ではなく作者に与えられる功労賞で、優れた作品が選ばれるわけではないのだなあ、と再確認しました。
09.5.19
評価:なし 0
事件はなぜ起こったか。殺されたのは「誰」で、いったい「誰」が殺人者だったのか。
超高層マンションで凄惨な殺人事件が起きた。室内には中年男女と老女の惨殺体。そして、ベランダから転落した若い男。
ところが、四人の死者は、そこに住んでいるはずの家族ではなかった……。ドキュメンタリー的手法で現代社会ならではの悲劇を浮き彫りにする、直木賞受賞作。
~感想~
いまさら言うまでもなく宮部みゆきという作家は実に多才で、ミステリはもちろんSFや時代小説から怪談までなんでも書ける力があるが、一方で奇抜な趣向を凝らした作品をしばしばものす。
たとえば『長い長い殺人』では語り手を財布が務めたり、某傑作では物語が最高潮を迎えた瞬間に終わらせたりと、意表をついてくれる。
この『理由』もその系譜に連なるだろう異色の作品で、全編がノンフィクションのような実録インタビュー形式でものされているのだ。
が、今回ばかりは失敗だったのではなかろうか。
まずインタビュー形式ということで、どうしても記述が淡々と流れてしまい、長大な分量とあいまって単調さを感じてしまう。
100人以上の人物が登場し、その生活や人生の一端を垣間見せ、それぞれ独立したエピソードとして読ませるが、数が多すぎて当たり外れが出てしまう。また、不満を抱えている人物ばかりで、ほぼ全編にわたって延々と愚痴を聞かされているだけじゃないかと思えてくるのも厳しい。
ノンフィクション形式(というか週刊誌の実録もの)に付きまとう、うさん臭さもぬぐい切れない。
そしてこれだけ長い物語を締めくくるのが、とっくに解っていた事実の再確認・焼き直しで、なんらの意外性も新事実も提示せず、とどめに真犯人の人物像にいたっては「根っからの悪人でした! 動機なんてねーよ! m9(^Д^)プギャー!!」と言わんばかりの有様で、思わず本を床に叩きつけた始末。
やっぱり直木賞は作品ではなく作者に与えられる功労賞で、優れた作品が選ばれるわけではないのだなあ、と再確認しました。
09.5.19
評価:なし 0