東方のあけぼの

政治、経済、外交、社会現象に付いての観察

サンデレ教授開講の辞

2011-01-10 20:11:14 | 社会・経済

お待たせしました。諸君、用意はいいかな。最初にお断りしておきますが、私がこれまでの著書、講義、テレビ出演で話したことをここで再び述べることはありません。そんなのはフェアじゃない、まさに非倫理的であります。顧客を欺いて二度同じ商品を売るようなものですからな。

二番目に注意しておくことは、私が申し上げることはたやすく同意出来ないものばかりだろうということです。たやすく受講者が同意出来るということは皆さんがすでに抱いている考えを述べるということです。これも詐欺ですな。家に帰れば台所にあるような商品を売り付けるようなものですな。

正義とは何か、と言うのが問題です。哲学のいいところは出発点となる概念はかならず無定義で始めます。その後展開する議論は精緻を極める、例外はありません。そこが哲学と言う商売の気楽でいいところなのです。

正義と言う概念が多義的で限定的なものであることは高名なる同僚教授サンデル氏の講演を聞いたかたにはお分かりでしょう。以下に示すのも数多くありうる定義の一つに過ぎません。

数千年の歴史の間、世界のいたるところで正義ということば心地よく響くのは、その生理的効用がアヘンに数倍する効果を肉体に与えるからであります。

皆さん、とくに若い諸君、何が何だが分からなくても「正義、正義」と唱えると今日みたいな寒い日でも体がポカポカしてきませんか。懐中カイロ効果といいます。

宗教はアヘンだ、とマルチャンか誰かが言ったそうです。であれば、共産主義はアヘンだ、といってもいいわけです。

大体において「正義は我にあり」と思いこむと暴力行為が承認されたと若い人は思いこみます。革命なんて言うのは大体そういうものですな。

つづく