不動産屋はビジネスマンではない。ある意味ではヤクザと同じである。基本的には相対取引であり、両者に力の差がある場合弱者は情報ほかあらゆる面で不利である。これがトランプがマルチよりバイラテラルな交渉を望む理由である。国家の権益は悪徳不動産屋のような取引で左右されてはならない。そこで通用するのははったりと恐喝である。そして法律の曲解や強引な運用である。
ヤクザになじむ業種である。やたらと法律が出てくるでしょう。不動産取引には。悪徳弁護士もでてくる。この種の情報運用の力の差が決定的な意味を持つ。
自動車などの大衆顧客商品では相手が買いたいと思う商品を提供できない会社は潰れる。トランプのいうような不公正な制度は日米の間にないし、むしろアメリカのほうが関税をかけている。マーケッティングや日本の顧客の望む自動車を作る技術がないからアメリカ車は日本で売れない。
不動産業界と大衆顧客業界の差は「契約書」と「約款」の差でもある。契約書はいうまでもなく両者の力関係を法定化するものである。内容に制限はない。自由である。つまり駆け引きに勝ったほうが実質的に契約書を作る。
約款は業者と顧客との関係を事前に定めたもので公示を義務づけられている。もっとも、商品を購入したり、銀行預金口座を開設するときに約款を読むひとはいない。読もうとおもっても読めないような細字で印刷されているしね。
大多数の場合、約款が問題とならないのは顧客が読んでいなくても、業者はそれに違反しない様に細心の注意を払うからである。その時そのときの顧客との力関係で替えられるものではない。
トランプのやり方をみていると、基本的にはマフィアと通底する不動産屋の経験が豊富というだけで、「ビジネスマン」ではない。これは日本の為政者が肝に銘じるべきことである。トランプの正体見たりというわけだ。安倍首相もこの辺を研究しないと行けない。モテギとかいう人物が「トランプはマルチよりバイが好きなんですよ」と間抜面をしてテレビで言っていたがこんなのが側近で大丈夫なのか。かれはアメリカのご用聞きみたいだ。たしかマッキンゼー出身だよね。