輸入アメリカ産牛肉に、除去していなければならない部位がまたしても見つかった。”胸 腺”と呼ばれる部位であるが、これはBSEに関わる危険部位とはされておらず、輸入禁止までは至らないとのことである。この牛肉を処理した業者の、輸入を見合わせるというとのことである。
国内報道からしか分からないが、このことから二つのことが言える。1つはアメリカの、屠場が相変わらず杜撰であるということである。日本では、獣医師一人で一日に10頭も解体できないことになっている。ところが、アメリカでは獣医師一人の屠場など珍しくもなく、1日に1000頭程度の解体をやるところも数多くある。しかも、獣医師は目視検査程度しかやってはいない。
誰もが嫌がる解体処理を直接する人たちの多くは、メキシカンなど時給一ドルといわれる人たちが請け負っている。きつく安い作業を続けるものがなく、習熟する者が現れない。解体作業そのものがスムースではない。余談ではあるが、日本の屠場の人たちの解体作業は、見ていても感心するほどの見事な手さばきである。
そんなアメリカに、ここは除きなさい、ここはこのような手順でやりなさい、などと強制することが、土台無理なのである。牛肉を安くすることに彼らは存続をかけているのである。
もう1つは、胸腺という部位のことである。胸腺は成牛になるとほとんど消えてします。日本に輸入されているのは、本当に若い牛だということである。早期仕上げには、穀物の多給などを、生体に負担をかけて可能な飼養形態である。こんな肉を何時まで日本人は、安いからというだけで食卓に並べ続けるのであろうか。