イギリスで、BSE(狂牛病:牛海綿状脳症)の人への感染形態とされているvCJD(異型クロイツフェルト、ヤコブ病)の発生が極端に予測を下回っている。イギリスのガーディアン紙によると、1996年の時点で人への感染予測は、この10年で最大で10万人を超える発生があるとされていた。
ところが、この10年間 でイギリスでのvCJDの発生は、160名であった。この数字を喜ぶべきかもしれない。イギリスでは、BSE感染牛が20万頭を超えていたが、治療方法も生前の診断ができない中で、人への感染がほとんど恐怖の中で予測されていたことを思うと、異論はあるにせよ一つの区切りとしてみたほうがいいと思われる。
イギリスでは死亡した人の、扁桃腺をかなり採集しているようであるが、異常プリオンは一例も確認されていない。1986年の初発から20年を経過しているが、いまだに病因は不明であるし、vCJDの潜在感染者数も分からないままであるし、感染経路も解明されていない。唯一判明されたのが、この20年間でvCJD160名という数字である。当初の、誰もが未経験であった中でのことを思うと、ひとまずは人間への感染は溜飲を下げていいものと思われる。
単発的な情報はあるものの、最も基本的な問題である、BSEはどこから来たのかという疑問の回答はいまだにないままである。健康なプリオンが自発的に異常になることも排除されていない。
わが国では、31例のBSEが確認されているが、本ブログで述べた(12月28日)とおり、ある傾向はつかめてはいるものの、原因などの特定にはたどり着けずにいる。
BSEの人への感染が、当初ほどの恐怖、危機感は減じたとは言うものの、いまだに病因は不明のままである。こうした意味でも、牛の検査は継続されなければならない。