ブッシュの増派を受けて早速 ライス国務長官が中東へ飛んだ。それがイスラエルとはやはりアメリカは、イラクの現実が分かってはいないようである。
実際には、もうすでにヨーロッパではイラクについてはげんなりしている。最大の理解者である、ブレア英国首相でさえイランやシリアとの話し合いを提案している状況である。さらに、英国は兵員を半数にすることを、ブレアの任期を見ながら行なう姿勢を見せている。
大義ない戦争であるが、イラク側の最も初期に行なわれたフセイン軍を抱き込む要請を拒否した。この30万の兵隊を取り込めないばかりか、武器を持ったまま敵に回したことや、ファルージャでの殲滅作戦がもたらした反 発や、アブグレイブ刑務所でのイスラム教徒が最も嫌う拷問を繰り返したことなど、侵攻後の失敗や間違いなどが無数にあることも忘れてはならない。
こうしたアメリカの小さ見える失政は、イスラム勢力の多くを敵に回す結果になっている。イスラム教徒の、国内受け入れを多くの国が行なっているヨーロッパ諸国は、イラクにかかわることを嫌うようになっている。さらに、EU諸国はアメリカに任されたアフガニスタン駐留でも、タリバン勢力に押され気味の傾向にある。
現在のイラク情勢は、どこの機関も内戦であること分析している。内戦への介入は、国連はもちろんのこと他の国など外部勢力からのテコ入れは、一般的には困難である。アメリカ政府は、識者の指摘を無視するばかりではなく、内戦状態すら認めてはいない。
アメリカは戦争であるにしては、作戦が軽々過ぎることがもたらした数多くの失政、間違いをもう一 度洗いなおす必要がある。日本はアメリカの今回の増派を容認するが、真の同盟国ならがこのことを指摘し、アメリカの国際的な孤立化に対して忠告するべきであろう。