インドのシン首相が中国を訪問し、温家宝首相と14日会談した。5年ぶりのことである。かつては、国境紛争で険悪な関係にあった、両国の急接近である。
両国は、エネルギー・環境問題、相互の貿易交流の緊密化、反テロで一致し た。お互いが、隣人であり協力パートナーであると宣言した。
この2国は、全世界の人口の半数を占める。環境面でも、CO2排泄で半量になるのは時間の問題である。
両国とも、発展途上国と自らを位置づけて、現在の経済成長の勢いを環境対策に優先させている。
世界では、自らの利益を求めてきわめて多くの国家が、無数と思える相互利益と利害関係の要因で成り立っている。しかもそれは流動的であり、常に破綻と裏表である。世界は、確実に多極化への道を歩んでいる。
日本はこの半世紀の間、アメリカ一国の利益追従あるいは傘の下で、経済発展を遂げてきた。そうした意味で、日米安保条約の果たした意味は大きい。実は、この国の転換点は敗戦時(1945年)にあるのではなく、1960年の安保改定時にある。
そして、社会主義国家の崩壊、冷戦の終焉後十数年、日本は大きな転換点に立っている。が、アメリカ一極への妄想から抜け出せない日本は、転換点に立っていることすら意識せず、アメリカ艦船への給油に固執してご機嫌をうかがうばかりである。
真の国際化とは、多数の国家が利益を追従する関係を理解したした上での、日本の行動でなくてはならない。さらにここに、環境問題が加わってさらに複雑になってきた。
先日のCOP13で、最も後ろ向きである国家として日本は「化石賞」の評価を受けた。アメリカのご機嫌をうかがう日本の象徴的な出来事である。
世界は、確実に多極化への道を歩んでいる。日本外交の独自性は、技術力や平和憲法を活用することにある。しかし、この国の2大政党は政争に明け暮れ、選挙対策の短期的な視点しか持ち合わせていない。