別海九条の会で、新春映画会と称して「二十四の瞳」を上映した。昭和29年 (1954年)の木下恵介監督・制作、高峰秀子主演の50年以上前の、白黒映画である。画面の痛みもあり、音響効果も最悪である。
当地のような田舎で映画会をやっても、せいぜい30名ほどの出席を予測していたが、70名も集まった。何より驚いたのは、10名少々いた小学生とそれ以下の子供たちの誰も退席しなかったことである。映画は、162分と いう長編にもかかわらずである。ぐずる子もいなかった。
映写室から、観客のう様子を覗っていると、悲しい場面になると場内が見事に静寂になることである。それまでは、動いていた観客の頭の揺れが止まり、だれもがスクリーンに見入っているのである。モノクロの痛みの激しい、音の良くない画面を、見入ってくれているのである。
私自信は、小学校時代に見た記憶があり、2年前にBS放送で見て胸を撃たれた作品である。声高な反戦映画ではなく、静かに瀬戸内の島の子供たちの成長と、出兵、戦死、不条理な教え子たちの死亡を淡々と伝える、監督の意思が伝わってくる。
何度も観客の涙を誘うこの作品は、50年の歳月を経ても人々を感動させて余りあるものがあったように思う。名作は不朽なのである。
若い世代が、知らず知らずに戦争に引き込まれて行く子供たちの姿を、どのように感じたのか機会を見つけて、聞く機会を持つつもりである。