佐渡でトキが放鳥された。日本のトキは絶滅したから中国から持ってきたトキを、人工飼育して育てた。10羽放鳥されたが1羽死亡していた。自然界で生き残れなかったのである。
これを巡って論争が展開されている。新潟県知事は給餌してでも保護すべきだと主張している。環境庁はしばらくはこのままでいくつもりである。知事たちは餌をばらまくとまで言っていた。
個体がかわいそうなのは良く解るが、、ここは環境庁の言うように自然界での彼らの必死の生き残ろうとする生命力を見つめるべきである。
日本でトキが絶滅したのは、人の身勝手な開発と生産効率を追求する産業へと農業を追いやった結果である。貴重ではあるが経った1羽が死んだからと言って、騒ぐことではない。もっと大きな問題をトキの絶滅は訴えているのだ。
やるべきことは、彼らが必死に餌を探すと安全な餌が得られるような環境を作ってやることである。ここで、餌付けをやってトキの個体数を増やしてもそれ程大きな意味がない。そうして生き残った個体が増えたとしても、子孫をどのように残せるというのであろうか。
佐渡の米作り農家は、多少生産性が落ちるが、岩澤信夫さんの勧める不耕起無農薬農法を進めようとしている。トキが繁殖した暁には、トキ米としてのブランド化を目指している。もうすでにシラサギは戻っていると聞く。
こうした動きと連動しながら、情に流されることなくトキには厳しい自然界の生存を体験していただきたいと思っている。いよいよだめな時には保護すれば良いのであって、彼らが生き残って繁殖することを期待したいものである。