かつて、北海道は相撲王国であった。古くは千代の山や赤鬼の名寄岩、美男の吉葉山に土俵の鬼先代若乃花に、大横綱の大鵬、北の湖、最多勝の千代の富士に都会的な北の富士などなど数え切れない名力士を産出していた。
今でも北海道新聞の相撲欄には、かなり小さくなったが北海道出身力士の欄が特別設けられている。関取は幕下を行ったり来たりしている若天狼しかいない。さびしい限りである。
北海道から力士が少なくなった理由ははっきりしている。成長期に、力士に必要な下半身を鍛える機会 が極端に少なくなったためである。小学時代に通学に平気で1里、2里(4~8キロ)を毎日歩いていたものである。夏ならまだしも、冬の雪にもめげずに子供たちは歩いていた。
私の住む別海町はとにかく広い。さらに人口の減少で学校が統廃合されて、子供たちはスクールバスが用意された。学校まで歩くことはない。家の前からすぐにバスに乗れて、黙っていても学校に着く。おまけに家では、大人たちは農作業に忙しくかまってもられないため、スナック菓子などを食べてばかりいる。子供の肥満率が全道で一番になっているようである。
待遇が良くなったのは喜ばなければならないかもしれないが、身体を鍛える機会がなくなった。さらに、広いため何処に行くのも車ばかりである。体格は大きくなったかもしれないが、体力がなくなってしまった。
昨日発表された、子供の体力検査で北海道はほとんど全国最下位になってしまった。苦労しなくて良くなったのだから、良いことなのかもしれないが、日本を支える次世代を大いに憂うるものである。
体力テストも良いが、体力とは力や速さや瞬発力だけではないはずである。本来体力とはそうしたものに加えて、抗病力や忍耐力や集中力も加わったものが、体力と呼ばれるものであるはずである。こちらの方はもっと落ちているかもしれない。
乳牛も同じである。牛を冬寒いところで飼ったり、草しか与えられなかったりすると、牛は見た目には大きくなれない。しかし、こうして飼われた牛はとにかく強い。見た目に可哀そうだとか、いじめられていると思われるであるが、牛はかえって丈夫に育つものである。
今の子供たちは、甘やかされ過ぎているのではないだろうか。
左の野生生物の死アップしました。