イギリスのデビッド・ミルバンド外相が、1月17日に「テロとの戦争は間違いだった」と、イギリスガーディアン紙のインタビューに答えた。
イギリスは、アメリカにとって最も強力な理解者だった。イラク侵攻のブッシュを真っ先に理解を示し支援したのはブレア首相だった。イギリスが加わることで、多国籍軍の言ってはばからなかったし、イラクのミサイルの射程の範囲にロンドンが入ることも、自衛のための攻撃と口実を設けられた。そのイギリスの外相がこの戦争に異議をとなえたのである。
ミルバンド外相は、世界の紛争地のテロをすべてひと括りにして、過激派と位置付けることで、無関心であった人たちまでテロ化させて巨大化させる結果になったと分析した。外相の分析は全く正しい。
ミルバンド氏は、イギリス労働党の若き指導者である。現在43才でブラウンの後を引き継ぐと衆目の一致する人物である。彼は、世界から核兵器をなくすようにと、昨年夏に論文を発表している。
又、多くの人の意見を聞くことで意思決定を持つべきとか、環境問題に積極的な取り組みを見せていたり、低炭素社会への志向を掲げている。オバマに共通する、若さと未来を見つめる目を感じる。
翻って、ブッシュのイラク侵攻を小泉首相がち早く支持したは日本政府は、いまだに当初のアメリカ支持を曲げていない。ブッシュは支持を表明してもらい、兵士を減らすことのなかったハワードオーストラリア前首相を、今月叙勲している。ブレアも小泉もいい面の皮である。
誤りを素直に認めることで、新たな対策が取れるというものである。オバマはこの点をどのように取り組むのか注目したい。