中国の新疆ウイグル自治区で、また暴動が起きている。州都ウルムチは草原にできた小さなウイグル人の町であった。1955年に中国が、ウイグル地区を併合させてからは、自治の名前は残ってはいるが、実質中国の漢民族の支配下になっている。
新疆地域には、12ほどの民族が住んでいる。ウルムチに限らず、町の中心地域には東の平原地区からやってきた漢族が占拠している。町の経済、政治、自治などのあらゆる権利を占拠し ている。町をドーナツ状にウイグル人たちが、囲む形になっている。最近は高層ビルが立ち並び、郊外との格差が一層激しくなっている。
ウイグル族は温厚な民族である。他のイスラム圏の人たちに比べて、争い事などあまりない。中国政府は報道陣に開放しているとするが、インターネットや国際電話を遮断してのことであって、とても解放された報道とは思えない。それでもネットでの動画を見る限り、チベットと同様に組織的に動いていない。サミットを見ての行動かもしれないが、自然発生的な感が強い。
中国の国旗は五星紅旗とよばれているが、一つの星がやけに大きく他の星を圧倒していることが解る。アメリカやEUの旗の星のように、どんな小さな国でも民族でも同じに扱う思想そのものが、中国にはないのである。漢民族は「中華」なのである。漢族は文化や歴史などすべてにおいて、中心でなければならないとするのが「中華思想」なのである。
経済発展の著しい中国にとって、天然ガスや石油それに希少金属の埋蔵が確認されている、新疆地域は何としても手放せない。チベットと同様に、阿藤的な暴力で今回も抑え込まれることになるであろう。それは中国の奢った優越主義、同化政策に他ならない。