イランが核開発の疑惑を巡って世界各国、とりわけ欧米諸国から厳しい制裁を受けている。EUは夏にはイランからの原油の輸入を停止する。日本と韓国も少なからず同調する。
イランはこの100年ほど、前半は英国に後半はアメリカに気まぐれな外交によって翻弄され続けてきた。イランは、ほぼペルシャ人国家である。自らを、純粋のアーリア人と称していた。そのため、ヒトラーのドイツとは親密な関係にあった。イスラエルとの確執はここに始まる。
イランは、世界を制覇したペルシャ王朝の末裔であることを誇りに思っている。アメリカと英国は、1953年パーレビー国王のクーデターを支援した。欧米文化の導入と、石油資本の大々的な介入によって、イスラム革命が起きた。
このシーア派の革命に激怒したのが、スンニー派のイランのサダム・フセインである。イランに攻め入ったフセインを、アメリカのカーターは支援した。ヨーロッパ諸国も同調した。
ホメイニは、イスラエルをアラブ人の感情と宗教的な対峙に加えて、アリア人としての誇りが、建国を許さないとした。
そのイスラエルは、アメリカによって支えられ続けている。今回のイランの核開発疑惑とIAEAとの対立は、イスラエルがIAEAに加入せず核兵器の所有が公認の事実となっていることを、理由としている。
アメリカは、イスラエルとイランに対して明らかに、異なった判断基準を適用している。時には敵になり、時には支援する、そして友好国とは異なる判断を平気で行う、世界の覇者あるいは世界の警察を自認するアメリカが、横柄で乱暴な国家を作り上げてきたのである。
イランの核開発には賛同するものではないが、イランのこうした歴史的な欧米との関係特にアメリカとの関わりを無視したまま、いたずらにイランの核開発反対し経済制裁を繰り返すようでは、新たなイランが生まれるだけである。