野上ふさ子さんが亡くなられた。享年63歳という若さであった。若いころから、様々な活動に取り組まれてこられた。晩年になったが、地球生物会議を立ち上げ、様々な動物への人間の扱いについて、多くの提言をされてきた。サイトは下記を参照ください。
http://www.alive-net.net/index.html
彼女は、実験動物の扱いについての問題から、動物生命の倫理について多くの提言をされてきた。行政も動かす力までなった矢先の、訃報で残念でならない。最近メールがあまりなかったりと、疎遠になって気になってはいた。
家畜への接触があまりなく、もっと労わらなければならないと主張されていた。経済動物として、当然のことと取り組んできた私は、彼女の多くの提言に未だに解決できないでいる。
見た目の虐待とは異なり、家畜の場合は生産を強制される運命にある。生産性の低い家畜は淘汰される。こうした現実と、家畜の生命とは何かを、解決できないまま現在に至っている。
生命倫理を前面に出していては、畜産農家は生き残ることができない。しかし、野上さんの主張されるように、現在の畜産農家は余りにも過酷な飼養環境を、家畜に与えている。
とりわけ大型畜産農家ほどその傾向が強い。そのもっともいい例が、採卵鶏である。僅かA4サイズの中空の、ケージの中で産卵を強制されている。遺伝的に改良され、肺炎になっていても骨折をしていても、飢餓中枢が鈍い品種は、いつまでも食べ続けるのである。
消費者は、そうした飼養形態で、安価な卵を購入しているのである。他の家畜も大同小異である。野上さんは、そのことを訴え続けて亡くなられた。私を含め畜産関係者は、家畜の生命について考えるべきである。彼女の冥福を祈りたい。合掌。