全日本女子柔道のトップの選手、15名が連名で柔道連盟を超えて、日本オリンピック協会(JOC)に告発文を送った。彼女たちの支えになったのは、筑波大学准教授でJOCの理事でもある、山口香氏である。
早くから相談に乗っていたようであるが、自ら解決するようにと突き放
し、連盟の告訴にたどり着いた。全日本柔道連盟に女子の役員はいない。
今回の暴力事件の発覚で、園田監督を更迭し蓋をするつもりだったようである。発覚前には隠ぺい工作をやっていたようである。トカゲのしっぽ切りで終わらせようと画策していた。発覚後も、監督の体罰論争に切り替えて動いていた。
柔道連盟は、自らには間違いがない。問題が発覚したら、発覚部分を切り捨て、組織の傷を最小限にする。日本の官僚の持つ体質、そのものを受け継いでいる。東電も同じである。
山口氏の「選手が抱える問題を吸い上げる構造が、スポーツ界にない」「選手はわがままを言うのではなく、理論立てて説明できる人間に育ってほしい」という発言が正しい。
女子柔道界のトップスターで小沢一郎に取り込まれ、今や国会議員の谷亮子氏は、今回のことの全く無策である。体罰など柔道界にないと発言し、15名の実名を公表すべきとしている。幼いころからトップ選手であった”やわらちゃん”に、手を挙げる指導者などいわけない。この議員さんに一般人や、庶民感覚を求めるのが無理なことである。
山口氏は、聞き取り調査は協力的でも、「氏名の公表は不利益が生じないことが担保されているとは言えず、時期尚早である」として、15名の置かれている状況に理解を持っていることを示した。全柔連が、女子役員や監督の採用に向けて前向きなことは評価した。
全柔道連盟の評価は、メダルの数であって、健全な国民のスポーツへの取り組みや、底辺の拡大などではない。指導者としての焦りが体罰を生み、指導者としての驕りがセクハラやパワハラを生むのである。