歴史的な惨敗を喫した民主党であるが、再建の槌音が一向に聞こえてこない。内部的には、もともとバラバラあったのが、政権を失うことでさらにまとまりがつかなくなっている。
内部的な調整ができないと見るや、かつて党首選で推薦をもらった小沢一郎にすり寄る、節度のなさにはあきれる。菅首相に頭ごなしに、玄海原発の再稼働を停止され、記者会見の場でおく目もなく号泣した気の弱さがここにきて目立つ。
元々経済評論家時代の論調は、みんなの党に近いものがある。彼は新自由主義者である。政治体制については、今一つはっきりとした視点が見えない男であった。憲法でも曖昧で、右翼でもないがリベラルな考えがあるとも思えない。したがって自民党への、明確な対立軸が見えてこない。
海江田の中途半端な姿勢に対する、象徴的な事件が起きた。破たんした安愚楽牧場の出資を、経済評論家時代に煽ったとして、訴えられたのである。
20年前に彼は、安愚楽の肉牛オーナー投資に対して、「利益は申込時に確定している、リスクはゼロである」と評論し、投資を勧めていたのである。
安愚楽は、土地の転売で思わぬ金が転がり込んだので、肉牛の育成から仕上げまでを手掛けていた肉牛牧場である。底辺の広がりを求め、一般から投資を受け肉牛のオーナーになり、その利潤をもらう制度を作った。
海江田はその実態も精査せずに、推薦したのである。ご多分に漏れず、安愚楽は杜撰な経営で破たんした。30名の債権者が海江田に対し、6億1150万円の賠償請求の訴えをしたのである。
とてもお人よしで、何かのはずみで推薦したのかもしれないが、現状認識の薄さをいみじくも証明した形になる今回の訴訟事件である。
政権失脚から2カ月経ったが、民主党再建の具体的な動きも見えない現状であるが、こんな外的なドタバタ事件を背負って、海江田万里に民主党を再建することができるのであろうか?