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この種の本では極めて珍しくベストセラーになっている、「農業崩壊」鈴木宣弘著(平凡社刊)で著者が指摘する。金を出しても食料が買えない日が近づいていると。それは世界に先んじて日本で起きると、鈴木氏は指摘する。
先日多分名のある方だと思うが、女性経済評論家の方が、食料問題について語られていた。「ウクライナの教訓から、これから当分食料が高騰するので、外貨準備高を多くしなければならない。そのためにも経済発展を云々・・」というのである。食料問題の本質、食料の本質を知らないまま、金出しゃいんだろ。ということである。
フランス革命のさ中、女王マリー・アントワネットは、パンも食べられないという大衆の声を聴いて、「だったらケーキでも食べればいいののに」といったと伝えられている。日本の国民多くは、この経済学者と同じ感覚で、マリーアントワネットと同じ感覚なのだろう。
食糧は人が生きていくのに欠かすことのできないものである。しかも毎日である。工業製品のように、食いだめもできないし、食わないで済むことも出来ない。戦争はともかくとして、気候変動や病害虫など不測の事態や内乱などによって、供給が滞ることに備えなければならない。少なくともその単位を国家レベルで行われなければならないのである。食料の自給は、金の問題ではなく命の問題なのである。
上図は、食料が過去バレてきた距離に単純に重量を掛けた数値、フードマイレージの表である。食料の種類によって色分けしてある。日本は世界でも際立って、フードマイレージが高い。しかもその6割を占めているのが穀物である。
地球の裏側から運んでくる、重い穀物が薬65%と全体の数字を高めている。この穀物の60~70%は家畜用の飼料である。家畜用の穀物はカロリーが、卵で8分の1から牛肉で30分の1以下に落とされて消費者に運ばれる。これこそが日本など先進国の畜産が抱える、巨大なフードロスといえる。
日本のフードマイレージ900,000百万トン・kmは、人口が日本の半分の韓国の3倍量になっている。ここで排出されるCO2量は、国内食料運搬に倍量を超える。
つまり、家畜に穀物を与えることで排出されるCO2量は、国内輸送の人間様の食料運搬とほぼ同量といえるのである。
国民が食べることで、日本は地球温暖化に貢献し、世界の食料を貧国から奪い買い込んでいることになる。日本の農政は、今だに巨大化と大量生産を目標にしている。そんな馬鹿げた国は世界に日本しかない。それはこの国が豊かだった時代の幻影にすぎない。
21世紀は、家族型の小農と、有機農業でなければならない。地球の温暖化を阻止し、国際紛争にも歯止めをかける、大地を汚すことなく水資源を守る形態に変えなければならない。