昨年元旦に投稿した記事が、その55日後に起きた、ロシアのウクライナ侵略戦争によって、そして円高でより際立ったものとなっている。
世界の40%を占めるアメリカのトウモロコシ生産であるが、3億5千万トンの内、家畜飼料として40%ほど、ほぼ同量を燃料用エタノールに使われている。そして残りが工業用だったり輸出されるものである。人の口に入るものはほとんどなく、これではトウモロコシの安全性など問う場面がないのも当たり前である。
上図は、遺伝子組み換えのトウモロコシの内容の比率であるが害虫抵抗性(Bt)と除草剤耐性(Ht) という、二種の耐性遺伝子組み換え品種(上図の緑部分)が圧倒的である。非遺伝子組み換え品種はほとんど作付けされていない。アメリカでは遺伝子組み換えの表示の必要ない(日本もやがてアメリカに倣う)が、人の口に入らないものなら尚更である。
日本の家畜は、生産性を前提に大量の穀物が給与されている。ほとんどがトウモロコシである。高生産に非生理的なトウモロコシを大量に与えられて、家畜は病歴を重ね短命になる。安価なトウモロコシを大量に与えて、高価な畜産製品を生産していれば経済的に元が取れると思っていた。多くの畜産農家は、経済優先に安価なトウモロコシが世界の経済安定の上に成り立っていたことを、このコロナ禍、ロシアのウクライナ侵略、円安でその実態を知ったのである。
変動する経済や社会情勢ではなく牛の生理にあった飼料の給与をすべきである。そして、高エネルギーのものを給与してカロリーをうんと落とすという自然摂理に反する飼料給与を今や見直す時なのである。家畜は発病寸前まで追い込まれて、畜産物を生産する。
農地にも同じことが言える。化学肥料や農薬を投与し一時的な生産の上げたとしても、大地の健全化を失うものである。大地即ち土壌の健全化とは、植物が大気を炭素を地中に固定し、多様な土壌微生物を保つことである。
穀物の過給や農薬の多用で、不健全家畜から不健全になった農地からの畜産物や農作物を、消費者に供給することを見直すべきと、コロナ禍、ウクライナ侵略、円安は警告しているのである。
日本の農政は、日本の農業は零細であるとし、一貫して高生産巨大化を目指してきた。今や世界は有機農業へと家族型小農へと大きくシフトしている。
健全な農地から健全な農作物を、健全な家畜から健全な畜産物を。