家畜に大量の穀物を給与して大量の畜産物(肉、卵、牛乳)を生産するシステムが、家畜を短命で不健康にするばかりか環境汚染に直接つながる。その幾つかを紹介したい。
上のグラフは、食料に消費地までお距離に重さを掛けた数字を”フードマイレージ”として評価したものである。日本は圧倒的に高く人口半分の韓国の倍以上である。その中でも特筆されるのが、穀物であり日本のフードマイレージの6割を超えている。日本が圧倒的に水分が抜かれた重い穀物を、地球の裏から持ってきているからである。ほとんどがアメリカであるが、輸入穀物の7割は家畜用で飼料である。
日本の国内食料のフードマイレージはこの3割に満たない。国内輸送に係わるCO2の排泄量は、家畜飼料の半分程度なのである。
輸入穀物に大きく依存する、穀物多給の大型で高生産の畜産は、地球温暖化に大きく貢献しているのである。
飼料用穀物は無関税である。安価であるから、畜産農家は肉や乳や卵に価格を押し付けて、経営が成り立っている。ロシアのウクライナ侵略以降その危うさが露わになった。いくらお金を積んでも穀物が輸入できない時代になってきたのである。
飼料用穀物は無関税である。安価であるから、畜産農家は肉や乳や卵に価格を押し付けて、経営が成り立っている。ロシアのウクライナ侵略以降その危うさが露わになった。いくらお金を積んでも穀物が輸入できない時代になってきたのである。
輸入穀物に依存する畜産形態は、食料自給を見せかけのものにしてしまう。90%自給しているかに見える鶏卵は、その実5%程度の自給しかない。こうした評価を入れた試算では、食料自給率は10%を切るとまで言われている。
しかもこの安価な穀物は、昨日、本ブログで書いたように、どの様な作付けがされているのかもわからない代物である。そして何よりも、大地を削り、大量の化学肥料や農薬に依存することで、本来は地中に植物がCO2を取り込むべきところを、吐き出す結果になっている。化学肥料を巨大な農機具で擾乱された土壌は保水力を失う。切り拓かれたノッペラボウになった森林は、野生動物がいなくなり、洪水をおこしたり、森林火災の原因にもなる。
大型農業は、地球の循環に反し、家畜の生理に反し、自然の摂理を破壊することになる。
世界の中でも日本は圧倒的に有機農業が少ないが、日本の農政誤りがここにある。
21世紀は、有機農業と家族型の小農経営が人類を救う。未だに政権が大型農業を唱えているのは日本くらいである。