今、世界の食料情勢は、コロナ禍、戦争、気候変動、円安のクワトロ(4つの)・ショックに大きく影響を受け、危機的状況にあるとは、鈴木宣弘東大教授の言葉である。その中、農家は生産資材の高騰を価格に反映できないでいる。
人口が増えグローバル化が進行した現在、食料供給に安定した社会情勢と気候の安定が欠かせない。ところが、世界は一層戦禍を広げ、際限ない気候の変動悪化の中にある。止めどなく広がると言った方がいいだろう。戦火はガザに飛び火し、経済力のない善良な団体声高に叫んでみても、温暖化の進行は止まることはない。熱帯雨林は伐採され先住民族や野生生物は追いはらわれる。
日本が買いつけていた穀物は、圧倒的な中国の進出で、金出しても買えない時代に突入しつつある。
中国のトウモロコシ輸入量は2016年に246万4000㌧だったものが、2022年には1800万トンと7.3倍になっている。中国の大豆輸入量は年間1億トンにのぼり、大豆消費量の94%を輸入に頼る日本の年間輸入量は300万トン程度でしかない。市場では全く勝負にならない。大豆は英語でSoybean 即ち醤油の豆という意味である。本来東洋の人達の作物であるが、今はアメリカとブラジルが主生産地で、中国や日本が輸入しているのは皮肉なものである。
大雨が続いても干ばつになっても誰もが驚かないような時代になっている。人口減少の日本では考え難いことではあるが、世界は人口が爆発状態であるので、上記のクワトロショックとは無関係に、食料問題は予見確実のことである。
さらに日本では、高度成長を掲げて農村から大量の人々を、都会に送り込んで二次、三次産業を支えた。その結果が下の表である。農民人口の減少は、消費者から食料生産場所から遠ざけたことが、「金を出せば買える」と思う人が増えた遠因になっている。
農民人口の減少だけではなく、高齢者の比率が高く、先がないことを物語っている。これ等は全て農業政策の失態である。