動植物のDNAを構成するらせん状の遺伝子の一部を切り取り置き換える技術、「ゲノム編集」が格段の進歩を遂げている。広い意味での、古くから言われている遺伝子組み換え(GM)ではあるが、DNAの一部の性質や機能を読み取り代わりのDNAを組み込ませるのである。従来の遺伝子組み換えは結果で判断するのに比して、更に精度を上げて目的を明確にしている点で、技術的には進歩したといえる。
上の写真のような、お肉をたくさんつける牛や通常の倍の大きさの魚やアレルゲンとなるたんぱく質を含まない玉子などを作るなど、すでに畜産や養魚の分野で実用化されている。
その一方で人に対しては、癌や特定の病気となるDNAを特定し、ゲノム編集で置き換えるなどで病気が失くすようにな操作が行荒れている。更には特定の癌ではなく、癌細胞一般に対して抑え込みT細胞を操作して、スーパーT細胞を作り出しあらゆる癌細胞を抑え込むというのである。
これらの技術は、一見私たちが生活するために極めて明るい未来を拓くかに見える。しかし、何よりもこのゲノム編集技術の最先端は中国であるということである。中国は2030年まで1兆円を投資するとのことである。研究者が若く取り組みが積極的で、業績を競い合っている。すでに受精卵での操作まで取り組んでいるとのことである。生命を自由に変えることにできる操作に取り組んでいるといえる。極めて怖ろしいことである。生命倫理感が薄い中国が積極的であることに、強い危機感を感じる。
現在その恐怖を効果の両面で実用化を思いとどまらされているのが、マラリアを媒介する蚊のゲノム編集である。蚊にマラリア原虫耐性遺伝子を組み込むのであるが、遺伝子ドライブ即ち交配することでこの遺伝子が拡散するようになったのである。いずれすべての蚊がマラリア遺伝子耐性のを持つものだけになってしまうのである。現在の人間の都合で品種全体を変えることの危険性と、マラリアに悩む人々への福音のはざまで、遺伝子を組み込まれた蚊は野に放たれていない。
病気に悩んでいる人たちへの救済や予防が望まれる半面、自然界が営々を繋いできた生命の根幹部分を人が崩すことへの危険を感じる。単なる倫理観の徹底だけでは、途上国や大企業やテロ集団や中国など、それに功績を得たい技術者を抑え込むことができないだろう。開発を推進する側は、日の当たる表しか説明しないのは人の世の常である。ゲノム編集は恐ろしい技術で発展開発を中止するべきと考える。