原子力規制員会の委員2名の交代が国会で承認された。活断層の専門家で、電力各社から厳しい審査に対する不満が出ていた、島崎邦彦委員長代理が退任した。同じく大島賢三も退任した。
代わって、田中知東大大学院教授と石渡明東北大教授が任命された。原子力とあまり関係がないとかの理由で、島崎、大島氏は自民党から難色を示されていた。
一方の新任の二人であるが、石渡氏は大飯原発のは活断層でないと民間レベルで意思表示をしていた人物である。
田中知氏であるが、これは正真正銘の原子力ムラが産んだ、強力な原発推進者である。2004~2011年の間に、電力団体から1360万円の報酬や寄付を受け取っている。また彼の東京大学の講座に、2011年までに1億位円以上の寄付が寄せられている。核燃料リサイクル研究の支援である。事故後も恥ずかしくもなく、原発の必要性を訴えている人物である。
発足当初規制員会は、各団体からの独立性の強い組織と位置付けられていた。元原子力委員会会長田中氏の就任で、組織の基本原則が瓦解した。
自らの意見に近い人物を、周辺組織に配置するのが得意な安倍首相である。内閣法制局長やNHKの経営委員などに引き続いて、見え見えの人事である。人の意見を聞くのではなく、自らの意見しか聞かない人物の配置である。原発再稼働への敷石であるが、安倍晋三は次第に裸の大様になって行くのである。