破棄された詩のための注釈21
谷内修三2020年09月17日
窓を開けたことのない部屋の匂いがする。時間の匂いだ。動かない時間の、匂い。真昼の光さえ、ガラス窓の縁まで来て、とまどっている。
この描写は、こう書き直される。
悔恨がいた。悔恨は、いない。いないことによって、もとのままの姿が見える。本棚を背に、椅子に座って窓の外を見ている。顎を、肘掛けのうえにのせた手で支え、足を中途半端に投げ出している。あのときの姿のままだ。しかし、悔恨は、私の存在には気づかない。窓を閉めきっているようにこころを閉めきっている。
谷内修三2020年09月17日
窓を開けたことのない部屋の匂いがする。時間の匂いだ。動かない時間の、匂い。真昼の光さえ、ガラス窓の縁まで来て、とまどっている。
この描写は、こう書き直される。
悔恨がいた。悔恨は、いない。いないことによって、もとのままの姿が見える。本棚を背に、椅子に座って窓の外を見ている。顎を、肘掛けのうえにのせた手で支え、足を中途半端に投げ出している。あのときの姿のままだ。しかし、悔恨は、私の存在には気づかない。窓を閉めきっているようにこころを閉めきっている。