橋
「橋を眺めた」ということばがあった。「別の橋から」ということばのあいだで、「両腕」ということばは、さびしそうに風にちぎれていた。
「さまたげるものは何もない」というのは「美しい」ことか、「残酷」なことか、あるいは「さびしい」ことか、ことばは考えあぐねていた。
その二行は、「あの橋はなかった」、あるいは「あの橋は見つからなかった」という、葉書に書かれたことばとは遠いところにある。
そして「雪が積もっているせいだろうか、違っているのに、逆に似たところがあるように思えた」ということばの近くにある。
それは「水の流れ」を描写した青い文字の余白をぐるりとまわりながら、宛て名が書かれた表にかけて書かれていたことばだ。
「私は間違っていない」ということばが間違っていることはわかるが、認めることはできないと主張しているように見えた。
そうであるなら、「橋が間違えたのだ」。
「風を映して流れる川」ということばは、川は似ていないが「水は同じ海へつづいている」ということばになりたがった。
*
「谷川俊太郎の『こころ』を読む」はアマゾンでは入手しにくい状態が続いています。
購読ご希望の方は、谷内修三(panchan@mars.dti.ne.jp)へお申し込みください。1800円(税抜、送料無料)で販売します。
ご要望があれば、署名(宛名含む)もします。
「リッツオス詩選集」も4400円(税抜、送料無料)で販売します。
2冊セットの場合は6000円(税抜、送料無料)になります。
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谷川俊太郎の『こころ』を読む | |
クリエーター情報なし | |
思潮社 |
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リッツォス詩選集――附:谷内修三「中井久夫の訳詩を読む」 | |
ヤニス・リッツォス | |
作品社 |
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2冊セットの場合は6000円(税抜、送料無料)になります。