詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

オリンピックは中止すべきだ(15)

2021-08-03 09:19:14 | 考える日記

 8月3日の読売新聞の一面(西部版・14版)

「入院 重症者ら限定」に転換/感染者急増地域 自宅療養 基本(見出し)
政府は2日、新型コロナウイルス感染者の療養方針見直しを決めた。感染者が急増している地域では自宅療養を基本とし、入院は重症者や重症化のおそれが強い人などに限る。
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 この前文だけでは、真剣に読まないとなんのことかわからないが、いままでは「軽症」の場合も入院できたが、今後は軽傷者は受け入れないということだ。「入院は重症者や重症化のおそれが強い人などに限る」がポイント。コロナ感染者は隔離病棟で徹底治療するという方針をやめて、重症者だけを病院に受け入れることにする、という具合に、どこがかわったのかわかるように書かないといけない。変わることによって、医療が充実するのが、それとも患者が見すてられるのか、そういうことを問題視しないといけない。
 記事を読んでいくと、こう書いてある。
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 入院患者を重症者や重症化リスクの高い人などに限り、その他の感染者は自宅療養を基本とする。家族に感染させかねないといった事情があれば、ホテルなどでの宿泊療養を認める。いずれの場合も、症状が悪化すればすぐに入院させる。
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 これも非常にわかりにくい。いままでの「経緯」を知らないと、理解しにくい。いままでは、入院できなかった人は、ホテルなどの宿泊施設で療養し、宿泊施設にも入れない人は自宅療養だったのが、順序が逆になる。入院患者以外は自宅療養。家庭内感染のおそれがある場合は宿泊療養にする。

 で。
 ここで私がいちばん疑問に思うのは、なぜ、こういう「方針」がいまごろでてくるか、ということ。こういう方針を打ち出すのは、コロナが終息に向かっているからではなく、まだまだ拡大するおそれがあると見ているからである。
 まだまだ拡大すると見ているのなら、「自宅療養を基本」とするのではなく、さっさと専門病棟をつくる、専門スタッフを養成するべきだろう。コロナ感染がはじまったころ、中国は専門病棟を建設し受け入れた。勧告はPCR検査を徹底した。その両国は、そうすることで感染の拡大を防いだ。日本も中国、韓国に学んで、同じ方法をとればよかったのである。「手本」があるにもかかわらず、1年半以上も何もせず、あげくのはてには感染防止策が見当たらないので、逼迫しないように「入院は重症患者に限定」。これは、対策として逆行しているだろう。
 いまからでも病院を建設すればいい。患者の早期発見にPCR検査を徹底すればいい。しかし、そうしない。病院を建設したくない、PCR検査もしたくない。金がかかるからである。金がかかることは何もしたくない。
 緊急事態宣言で休業する人への支援金を出さないのも同じ。
 税金は、政府の(菅の)小遣いではない。国民が助け合い(公共の福祉)、生きていくための「所得の再配分」としてつかわないでどうするのだ。金を使わずにすまそう、すまそうとして、最初に病院建設、PCR検査を結果が、こうなっている。しかも、コロナ感染がまだまだ拡大すると予測している。だから、金がかからない方法を必死になって探している。医療が後退するのに、あたかもそれが「効果的」であるかのように宣伝している。それを、読売新聞は、そのまま、政府の言う通りに「新方針」として宣伝している。
 批判力をなくしたジャーナリズムの典型である。

 それにもまして不思議でならないのが、こんなふうにまだまだ感染が拡大するという認識がありながら、なおかつオリンピックを継続していることである。
 オリンピック関係の感染者はどうなっているか。
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 東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は2日、ボランティアら海外から来日した6人を含め、新たに17人が新型コロナウイルス検査で陽性と判定されたと発表した。選手村(東京都中央区)の滞在者は含まれていない。組織委が7月1日に公表を始めてから、大会関係者の陽性者は計276人となった。
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 感染が止まらない。「ボランティアら海外から来日した6人」というのは具体的には、ボランティアが何人で、その他の関係者が何人なのか、いつ来日したのかなどがわからない。「ボランティアら」は選手よりももっと多くの人と触れ合うだろう。いったい「濃厚接触者」は何人なのか。なぜ、濃厚接触者数を公表しなくなったのか。

 コロナ感染者の病院をつくらず、自宅療養を強いる方針を掲げて、オリンピックを続行するのは、あまりにも無責任である。即座に中止すべきである。


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