2014年夏、「ヲタク」はイバグ(「物語」のプサン方言)工作所と
名付けられた文化会館を正面玄関からではなく屋上から訪れた。
屋上の展望台からは、足の下の建造物の全体像など
全く想像もできなかったが、下に降りて見ると、小規模とは
言え、なかなかりっぱな建物であった。
△変則(?)2階建てのイバグ工作所
2013年3月の開館から早や1年と半年が経とうとしている。
この間、すでに多くのイバグ(文化的な話題)を工作
(展示・提供)してきた会館だが、この夏は、8月15日の
解放記念日に合わせ、釜山を舞台にした韓日交流史を
テーマに展示が行われていた。
△「路地ごとに流れる韓・日の歴史、イバグ展」との横断幕
一通り、館内の展示物を見て回った。
△屋上展望台の真下にあたる2階の展示室
内容は文禄慶長の役や抗日独立運動、そして独島(日本名、竹島)守護の
各分野で活躍したプサンゆかりの人物の紹介が中心になっていた。
思想的には韓国愛国史観とも呼べる見方、解釈で貫かれており、
正直、「ヲタク」的には全く共感できない内容も散見できた。
ここで、その展示内容の全てに一々感想を書き加えることは省く。
ただ、一つだけここに記録するとすれば、それは日本の
植民地時代、釜山警察署で署長に爆弾を投げつけ
負傷を負わせた罪で捕えられ獄死した、ある過激な
独立運動家が、例によって「義士」として称賛されて
いた展示コーナー。
「ヲタク」としては、民族独立を求める強烈な意思には
共感できても、その過激な行動を無批判的に称賛する
ことなどとてもできない。
それにしても不思議なのは、現在、世界を揺るがしている
イスラム過激派やウイグル民族過激派のテロ行為などに
対しては、称賛どころか一切の共感や同情を示していない
ように見える現代韓国の社会精神のありようである。
もし仮に、現在世界でテロを生みだす背景にある不当な
支配や抑圧には鈍感でいながら、かたや、自国史の
中でだけは数多くの過激な「義士」を何の疑問もなく美化、
称賛できるとしたら・・・。
それはダブルスタンダードを持つ、かなり偏狭な歴史観だと
批判されても仕方あるまい。
(終わり)