福岡発 コリアフリークなBlog

韓国や韓国語に関するオタクの雑学メモ。韓国映画はネタバレあり。 Since 2005/9.14

韓国の日本式軍隊用語 

2005年10月07日 |  〇文化・歴史

10月9日の「한글날(ハングルの日)」を前にした10月7日、
CBSは次のような記事を配信した。

■ 문희상 의장 "국방개혁 추진하며 일본식 군대용어도
개선해야"

(直訳:ムン・ヒサン議長、「国防改革を推進し日本式軍隊用語も
改善しなければ」)

その事例として紹介された用語は次のようなものだった。
一部抜粋してみる。

・ 일본식 군대용어 사례
(日本式軍隊用語の事例)

반합(飯盒), 침상(寢牀), 모포(毛布), 수입(手入)
기합(氣合), 잔반-짬빵(殘飯), 귀관(貴官), 막사(幕舍), 세면(洗面),
작일(昨日),금일(今日),명일(明日), 불침번(不寢番), 사역(使役),
투척(投擲), 약진(躍進), 포복(匍匐), 도수운반(徒手運搬),
도수체조(徒手體操), 첨병(尖兵), 초병(哨兵), 동초(動哨),
점호(點呼), 순검(巡檢), 군장(軍裝), 수하(誰何), 사열(査閲),
연병장(練兵場), 수양록(修養録), 유격(遊擊), 도하(渡河),
촉수엄금(觸手嚴禁), 기도비닉(企圖秕匿), 마대(麻袋),
훈육관(訓育), 복명복창(復命復唱), 등화관제(燈火管制),
관등성명(官等姓名) 나까오리(中折:なかおり,해병, 정찰모),
단까(擔架:たんか),

韓国の新聞では、折に触れ、こういう記事をよく目にする。

政治家にとってもマスコミにとっても、国民受けしやすいお手軽な
「愛国心」のお披露目だと言えよう。

「日本帝国主義の残滓」(倭色)を清算するという課題は、旧軍事
政権系、民主化勢力(現与党)を問わず、韓国の政治家なら誰もが
共通して熱心に推進する愛国的なテーマだと言える。

確かに、僕自身、「ナカオリ」(海兵帽や偵察帽の俗語)や「タンカ」
などの日本語は、早急に韓国語に置き換える必要はあると思う。

しかし、繰り返し繰り返しマスコミに登場する、この種の問題の
本質を考える時、「愛国キャンペーン」の背後には単なる言葉の
置き換えではすまされない深刻な問題が存在していることを指摘
せざるを得ない。

つまり、この記事の見出しにある

의장(議長)」や
국방개혁 추진(国防改革推進)」、
일본식 군대용어 개선(日本式の軍隊用語改善)

という用語自体が、すでに日本式の漢字語表現であるという事実を
どう考えるのかという問題だ。

屈辱的な事実かもしれないが、現代韓国語自体がすでに日本式の
漢字用語を主要パーツ(骨格)として成り立っている。

そういう中で、日本式用語の清算の必要性を日本式用語を用いながら
主張するというこの矛盾は、悲劇を通り越して、ある意味、喜劇に近い。

こうした矛盾に満ちた悲喜劇こそが、まさに本当に清算されるべき
植民地時代の後遺症なのではないだろうか。

僕は、韓国社会がこの種の後遺症から自由になるかぎは、日本帝国主義に
よる「屈辱の朝鮮近代化」の歴史とどう向き合い、それをどう認識し
克服するかにあると思う。

栄光の独立運動と否定すべき悪辣な「日帝支配」の陰で何が進行したのか。

日本帝国主義が朝鮮半島に強制的に持ち込んだ「近代化(日本式西欧化)」
の実像とはどういうものであったのか。

近代朝鮮語(=日本語的朝鮮語)の成立過程も含め、より事実に即した
形でとらえ直す必要があると考える。

当然のことながら、何も日本による植民地支配を肯定的に評価しろなどと
言いたい訳では全くない。

むしろ、韓国社会が植民地支配の後遺症から真に自由になるためにこそ、
日本によって強制された「近代化(日本式西欧化)」の実像を、未来への
糧となる歴史的事実として、ありのままに真正面から見つめ直す作業が
必要となってくるのではないかと思うのだ。

歴史の「真実」と向き合う作業をしない限り、いつまで経っても正確な
自己認識ができず、正確な自画像も描けない。

この「よがんだ自画像」こそが、もっとも深刻な植民地支配の後遺症と
言えはしないだろうか。

換言すれば、歴史と向き合わない限り、韓国社会が真の意味で「内なる
大日本帝国」を克服することはできない。

そうした意味では、現代を生きる日本人同様、 現代を生きる韓国人も
また、歴史という名の鏡に、勇気を持って向き合う必要があるのでは
ないかと思う。

僕にはそう思えてならない。



(終わり)


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