最近でも、韓国の駅や繁華街では、物乞いする人を見かける
ことがしばしばある。
アメリカのロスアンジェルス・タイムスが、ソウルの地面を這い
ながら物乞いする障害者について、長文の特集ルポを掲載した
とのこと。
仕事として物乞いをする障害者本人への取材を元にした、
なかなか意欲的な特集記事だったようだ。
同紙の特集を紹介した連合ニュースの記事を、全文翻訳練習
してみた。
なお、紙面の都合で原文の引用は省いている。
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■외국언론에 비친 강남 `장애인 걸인'
外国メディアの目に写った韓国の「物乞いする障害者」
(連合ニュース 4月23日)
ソウル市カンナム(江南、高所得者層の住む街)都心の街頭で
地面にうつ伏せたまま体を引きずりながら、物乞いする障害者の
姿は、外国メディアの目にどう写ったのか?
アメリカの日刊紙ロスアンジェルス・タイムスは22日、1面の連載
企画記事「コラム・ワン」を通じ、物乞いする障害者のキムさん
(55)の生活と彼の目に写る韓国社会の様子を詳しく紹介し、
関心を集めた。
同紙は1面に続き25面の全面を使いソウル発のルポとして、
キムさんが小児麻痺を患い障害者となった後、繁華街の街頭を
這い回りながら物乞いするようになったいきさつを紹介した。
また、幾ばくにもならないキムさんの「収入」だが、それすらも
最近の不況のあおりで減少していると伝えた。
キムさんは、小児麻痺を患い歩けなくなった足を黒いゴムチューブで
巻き、クッションを敷いた車輪付きの板の上に上半身を乗せ、
こぶしと肘を使いながら地面を這うように動く。同紙は、その姿が、
まるで半分人間で半分は「オットセイ」のように見えたと表現した。
キムさんは1日のうち10時間を地面に伏せたまま生活し、地面の
間近にある彼の視線からは、煙草の吸いがらと下水道の蓋しか
見えない、と同紙は言う。
同紙は、広範囲なセーフティネットを誇る韓国ではあるが、キム
さんのように街頭で物乞いする障害者たちが、経済危機により
最も大きな苦痛を被(こうむ)っていると伝えた。
景気がよかった頃には1日に約20ドル(約2000円)の「収入」を
上げていたキムさんだが、昨年秋から「収入」ががた減りし、
最近の「収入」は1日で5ドル(約500円)にも満たない。同紙が
キムさんを取材した4月17日の午後、キムさんの物乞い箱には、
100ウォン(約8円)玉が4つ入っていただけだった。
同紙は、これまでキムさんが歩んできた人生についても詳しく
紹介した。江原道で生まれたキムさんは、生後間もなく小児
麻痺にかかり足に障害を負った。長らく家族と一緒に暮らして
いたが、父親が亡くなった後、母親に迷惑をかけたくないと思い、
23歳の時に家を出てソウルに向かった。
ソウルに出た後、彼は、お金を稼ぐために同僚の障害者を通じ、
街頭での物乞いに必要な装備を購入し、この世界に入った。
それから20年間、彼は毎朝7時前に、同僚の障害者の車で
ソウル市郊外の家からカンナム(江南)の「職場」に出勤する
生活を続けてきた。彼は、仕事以外の場では松葉杖をついて
何とか歩くことができる。
キムさんは、地面を這いながら物乞いする仕事をやめたいと
思ったこともしばしばあったという。しかし、「僕には他に
選択肢がない。僕にはこれ以外に仕事がないんだ」と語った。
最後に同紙は、キムさんは笑い上戸だが、彼の暗い目は、常に
深い悲しみを湛えていたと報じた。
(終わり)
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