BLACK SWAN

白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

境界線上のホライゾン 第1話 『境界線前の整列者達』

2011-10-03 20:56:09 | Weblog

原作既読。
で、期待値は高かったのだけど、第1話を見た限り、ダメダメだな。

『禁書目録』の時に感じた、原作未読者の不満をそのまま想像してしまう酷さ。

というのも、原作第一巻の冒頭をそのままなぞっただけの、
まさに映像化しただけの構成だから。
これならわざわざ映像にする必要なんかないじゃない。

加えて、ホントに忠実に映像化しただけで、
原作が文章からなるコンテントとして工夫していた要素まで省いてしまったら、全然ダメだろう。

だって、このアニメ第1話だと、メインとなるキャラは誰で、
お話がどういう方向に向かうか、全くわからない。

この第1話を見たら、主人公がオリオトライのように見えるよね。
それに隠し味というかお話のスパイス的位置づけのキャラ、
つまり、ネンジ、ハッサン、イトケン、ばかりがやたら目立つような構成。

いや、確かに原作を忠実に映像化するとこうなるとは思うのだけど、
でも、原作だと、きちんとイラストページを複数いれて、
喜美とか、点蔵とか、ウッキーとか、アサマチとか、
名前入りで紹介して、ちゃんとキャラの重要度の軽重をつけてるんだよね。
それこそ、止め絵的に名前を入れていっても良かったんじゃないのかな。

原作の、この冒頭のオリオトライ追いかけっこというのは、
最初に読んだ時は、あー、うまいなー、と思った。
というのも、この作品はめちゃくちゃ登場人物が多いわけだけど、
しかし、それぞれ非常にわかりやすい個性や特徴があって、
その特徴を一連の流れの中で順繰りに紹介していく方法としてとてもうまいから。

オリオトライはいわば、一種のMCとしてあるわけで、
つまり、「さて、次に登場するのは・・・、ミトツダイラです!鈴さんです!」、
みたいな感じで登場人物たちを読者に紹介していく役割だったんだよね。

となると、一連の動きを描くにしても、画面の流れとしては、
オリオトライを追いかける生徒の側の視点から示すのが筋でしょ。
人数多いから、複数のグループに分けたりね。

あと、アサマチの射撃の場面も、原作のセリフをそのまま使うと、
あまりに説明口調で何やってるのかわからないに決まってる。

アサマチは原作の全体を通じて、ネシンバラとともに、どちらかというと、
地の文で説明すべき内容を対話の中で説明する人物としてあって、
だから、あの射的の場面のセリフも、このホライゾンの世界の、
ネットワークやエネルギーのあり方の「設定」をそれとなく説明するためにある。

で、設定だから、テキストで文章で読めば、初見の言葉も、あー、設定なのね、ととりあえず納得することはできるけど、それをただセリフとして喋られても、何だかわけがわからない。

というように、原作をそのまま映像に置き換えるのは、かように初見の人にとって不親切この上ないものになる。

で、説明が足りないと、最後に設定がナレーションとして入っていたわけだけど。

それやるなら冒頭はまだしも、せめて中盤でやればいいのに、と思ったかな。
あるいは、武蔵に説明させてしまうとかね。

最後の、魔族の成敗のところも、ま、あの成敗方法は確かに後々それなりに大事な要素になるから省けなかったのだろうけど、それにしたったあんなに赤い鬼、忠実に再現しなくてもいいのに。他のキャラよりも目立ってたよ。

ということで、原作未読者は原作読めってことかよ、と突っ込んでいた、『禁書目録』の時の理由が、今回の第1話の映像化を見て、非常にクリアになった感じ。

要するに、情報の与え方や、多数キャラの動かし方、というところで、映像化するならきちんと構成しなおすのが大事ってことだと思う。

その意味では、同じく原作付きで始まった『Fate/Zero』の方が遥かにうまく構成していたように思える。こちらはこちらで別途書こうとは思うけど、初回としては、それぞれの登場人物の紹介や、行動の動機づけ、について、うまく構成していたように思う。

どうやら脚本やアフレコに虚淵玄が立ち会っているということらしいけど、その効果はある感じ。

川上稔は同じようにしてないのかな。
彼もゲーム制作を経験しているはずだから、映像化については一家言あるのかと思っていたけど。

あ、あと、このホライゾンの第1話の全体の印象は、これ萌えキャラアニメにしようとしてる?という感じがとても強かった。絵だけで説明しょうとすると萌えしかないの?という感じで、こちらも残念。

オリジナルだけど、『舞姫』や『舞乙』では多人数キャラをちゃんと動かせたのだから、同じように『ホライゾン』も構成してくると思って期待していたんだけどね。次回に期待するところかな。

しかし、そう思うと、原作付きの映像化という点では『化物語』は別格的に凄かったということになるのだろうな。

もちろん、シャフトの処理はあるのだろうけど、あのテキストをガンガン挟み込んでくる演出は、それだけで、このシーンとシーンの間には映像を端折ったところがあるけどね、みたいな情報も付加していて見応えがあった。

むしろ、あの映像の成果が『化物語』の第二シーズンに十分反映されていることも含めて、シャフトは凄かったな、と思うな。

『ホライゾン』は変則2クールだと思うけど、エンディングの感じを見ると、どうやら第二巻のイギリス編まではやるようだから、序盤でうまくキャラや設定の紹介を済ませて、素直に物語展開に没入できるような展開を期待したいところ。

ということで、第2話を待とう。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする