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白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

ソードアート・オンライン 第24巻 『ユナイタル・リングIII』 感想: いよいよ本格的にソードアート・オンラインとアクセル・ワールドを一つのサーガ/ユニバースにする試みが始まった!

2020-05-09 18:56:38 | SAO/AW
前巻の最後で、菊岡の待つ銀座の高級喫茶店にアルゴとともに現れたキリト。
アルゴと菊岡の初対面はどうなるのか?

一方、前巻まではダラダラとした序章を見せられているようにしか見えないユナイタル・リング。
少しは、物語がどこへ向かおうとしているのか、明らかになるのか?


・・・ということで、とりあえず、スペース、空けときます。





































いやー、面白かった!

久しぶりに発売日にそのまま読み切れた!

それくらい、物語のテンポが良かったのと、結構、内容が盛りだくさんだったから、なのだけど。

一番大きかったのは、ユナイタル・リング編がようやく立ち上がり始めたかなと思ったところで、いきなりアンダーワールド編の新章も始まったこと。

しかも、200年後のアンダーワールド世界。

こちらのほうがやはり驚きが多かったので、気になったところを先に書いてしまうと、

とにかく200年後の世界だから、事実上、全く新たな世界に近いということ。

けれども、その200年前との違いの多くは、本来は、星王キリトと星王妃アスナの二人が整備したものであること。

にもかかわらず、キリト本人は、アンダーワールドからの帰還後、その200年の間の記憶を消去しているので、彼にとっても目新しいものばかりであること。

なのだけれど、ロニエとティーゼの子孫である(そして二人の面影を残した)当代の整合騎士であるローランネイとスティカにとっては、キリトは星王として敬愛してやまない対象であること。

そして、その上で、新たに登場した整合騎士団長のエオラインというのが、仮面の上官という点では、まったくもってシャアwのようなのだけど、でもどうやら、キリトの印象では、ユージオの転生?とでも思わないではいられない存在であること。

実は、事前にアンダーワールド編へのダイブはあることは知っていたので、てっきりこのエオラインというのは、おそらくはフラクトライトとして存命しているはずの茅場晶彦のアンダーワールドにおけるアバターだと思っていたのだけど、でも、どうやら、そうではない、というのが、今回の中間結論。

もっとも、この先、茅場がなりすましているという可能性もあるのだけど。


ともあれ、ユナイタル・リング編の中に組み込まれる形で、アンダーワールド編も再起動したということで。

これは、やっぱりワクワクしてくる。

まぁ、ユナイタル・リング編の渦中に始まるということは、十中八九、後で、この2つの世界も交叉していくのにちがいないのだろうけど。


それから、今回思ったのは、このユナイタル・リング編は、まちがいなくアクセル・ワールドの加速世界を準備する物語になるということ。

だって、今回、もう随所にAWとの関連を匂わせる発言や描写が目白押しだから。

まず、のちのニューロリンカーの開発に至る道として、FLA(主観時間加速)機能の説明とか、それが民生化するのは30年後の2056年だろうという話とか。

アリスのボディのアクチュエータ音とか書かれると、AWのレイカーの中の人のフー姉のこととか思い出してしまうわけで、こういうところも、AWとの連続性意識して書かれてきているような気がする。

あるいは、整合騎士団の「神器」が封印された、とかね。

これ、どう見ても、ブレイン・バースト世界の神器のことだよね。

となると、やっぱり、このユナイタル・リング編の先には、AW世界を用意した「知性間戦争」の話に行き着くのだろうな、と。


というか、作者は、もう、SAOとAWの世界を完全にリンクさせて、ひとつながりのサーガにしようとしているよね。

実際、SAOの集大成って雰囲気を醸し出してきているし。

カムラが出てくる以上、劇場版の『オーディナル・スケール』が出てくるのは当然として、今まで、実は、本編のSAOとは異なるアナザーストーリーなんじゃない、と思っていたSAOプログレッシブも、どうやら本編の、つまり正史のなかに位置づけられるらしい。

だって、プログレッシブにあった四層のゴンドラの話のことをキリトが思い出すシーンまで、今回あったので。

そもそも、ユナイタル・リングという世界の試み自体、「ザ・シード」の頒布によって勝手に各地で作られていたVRMMORPGの統合、というものだし。

今回、ユナリン編の最後で、昆虫の姿のプレイヤーが出てきたけど、その《インセクサイト》ってゲーム、これ、昔、ユウキたちスリーピング・ナイツの面々がダイブしてた虫ゲーだよね。

そういう感じで、いままでバラバラに語られていたものが、文字通り、一つのユニバースとしても統合されてきている。

いやまぁ、その結果、初登場のエギルの奥さんがカマキリ姿で現れる、というグロい展開になったわけだけどw

ともあれ、こんな感じで、一気に、SAO/AWの「正史」と「ユニバース」を語ろうとしてきているのが、これでもか!とばかりに伝わってくる展開だった。

正直、ユナリンだけだったら、マジで生産者ゲームでしかなくて、キリトたちが一からゲーム内の街を作っていくような話で退屈になってしまうところだったのだけど、でも、そこで行われている「ゼロからの作業」が全て、この先、ブレイン・バースト世界の雛形をつくるための経験になるんじゃないかな、と思うのだよね。

そういう意味では、虫型プレイヤーって、ブレイン・バーストのアバターの原型のひとつになるんじゃないか、とか。

作中で、アルゴが言っていたように、ユナリン世界はとにかく「過剰」で、でも、その「過剰さ」は、むしろ、プレイヤー側のゲーム的常識を覆させるために予め用意された「過剰さ」であるとしたら、要するに、心意技同様、本人が望む姿が自由にアバターなりに顕現するという、ブレイン・バーストの世界構築原理そのものにスライドしていくように思えるのだよね。

プレイヤーの自由な発想を引き出すために用意された「過剰さ」。

もちろん、全部が全部、直接、ブレイン・バーストに現れたなにかになるわけではないだろうが、けれでも、何らかの形で未来のカタチを用意しているようにも見える。

つまり、ユナリン編とは、ほとんどブレイン・バーストの初期開発過程である、という気がしてならないんだよね。

というか、そう思って読むと、なるほどなぁ、と思えてしまうところが多い。


そういう意味で、本巻を、いきなりアルゴと菊岡の遭遇から始めのたは上手い。

いや、前巻はそのシーンで終わっていたから、自然といえば自然なんだけど。

でもね、ユナイタル・リング事件が始まる前に、アルゴと菊岡(というかクリスハイト)が接触していたことの意味は大きいよ。

しかも、もともとユナイタル・リングではなく、アンダーワールド関係の話で、とはね。

実は、発売前にあった予告で、今回、アンダーワールドにまたキリトがダイブするというのを聞いて、いやまた唐突だなぁ、と思っていたのだけど、

でもこのアルゴと菊岡の一件はその唐突さを解消するエピソードでもある。

しかもその上で、アルゴを菊岡側の、アンダーワールドの話の側に絡ませてくるのだから。

アルゴの再登場は、多分、カムラ絡みだとは思っていたけど、それでいきなりアンダーワールドまで繋げるのは、展開がうまいし、早いな、と。

そのイントロがあった分、その後本巻で、ユナイタル・リングへのダイブが始まってもたるい感じがしなかったし。


しかしよく考えると、驚くことに、本巻の冒頭ではまだ前巻から1日しか経ってないのね、作中では。

さすがに、この時間の流れは遅すぎるぞ!と感じたので、ある意味、その間にアンダーワールドを挟んだのは、まさに、展開が中だるみしないための策でもあったんだなと痛感。

となると、この先も、ユナイタル・リングとアンダーワールドの両方が舞台になっていくのかな?

まぁ、アンダーワールドが舞台なら、アスナとアリスの二人がメインヒロインで行く展開としても鉄板になるけどw


あと、いくつか気になるところもあって。

キリトにかけられた、ムタシーナのスペル《忌まわしき者の絞輪》だけど、結局、解除法がわからないまま終わってしまったけど、これ、どこまでひっぱるネタになるのだろうか?

流れ的には、ムタシーナの中の人は神邑樒なんじゃないかな、とか。

多分、このユナリン事件をしかけたのはカムラだろうから、となると、ムタシーナが、キリトも思っていたとおり、アドミニストレータや茅場晶彦のような、ラスボス兼ゲーマスのようなポジションになるのかな、と。

となると、解呪はだいぶ先になりそう。

だって、オリジナルのアインクラッドのように「プレイヤーの死=中の人の死」ではないけれど、しかし、プレイヤーの窒息死を招くような呪文っていくらなんでも悪質だから。

その悪辣を正すのがユナリン編の山場だとすると、結構、引っ張りそうな気もするんだよね。

どちらかというと、キリトが解呪の方法をアルゴとともに探る、という方に期待をしてしまうけど。

その場合は、その過程で、アルゴがムタシーナの正体を突き止めそうだけど。

そういえば、アルゴが菊岡の依頼の報酬として求めたSAOプレイヤーって誰なんだろう?

当然、そのリアルも気になるわけで。

そういう意味では、アルゴ、最後のところでどうして、昆虫プレイヤーたちと一緒にいたのだろう?

アルゴの動きは、やっぱりイレギュラーだよね。


で、他に気になったのは、

仮想研究会、ってどう見ても、加速研究会、の前進だよね、ブレイン・バーストの!とか、

アスナの誕生日イベントが来るってことは、やっぱりAWの黒雪姫の誕生日の話だよね、とか、

クマ使いだから、という理由でバシン族から尊敬の目を無駄に向けられるシリカが、ウソップみたいで笑えたとか、

いろいろあるのだけどw

でもさすがにちょっととりとめなくなりすぎたので、とりあえずここまで。

しかし、《ザ・スカルリーパー》が受肉化するとは。

やっぱり、このユナリン世界、ゲーマスの悪意を感じるんだよねぇ。。。

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