前巻の引きで、まんまとゴッドフレイから胸骨を奪い取ったリヴァーモア。
今巻は、そのリヴァーモアの計画の追求が中心となる回。
なのでオリバーたちの決闘リーグは一旦おやすみ。
こういうところ、ホント、物語の構成がうまい。
決闘リーグだけ続けたら、物語が単調になることは必至なので、一旦、それは棚上げにして、学生の総力戦でリヴァーモアが奪ったゴッドフレイの胸骨を奪還する作戦が組まれる。
もっとも、総力戦といっても、ゴッドフレイを慕う者たちだけなので、この奪還作戦への参加を通じて、親ゴッドフレイ派と反ゴッドフレイ派の色分けもされる、という展開。
こういうところもうまいよね。
学園モノでの生徒会選挙って、あまりにも定番で、それだけで退屈になるところなのに、この作品では、決闘リーグという祭りを被せることでその退屈さを払拭している。
それだけでなく、決闘リーグを通じて、主には旧家系の学生の家の事情を明らかにすることで、彼らが年齢とはあまり関係のない強欲や狂信を帯びていることもわかって、彼らがただのガキではないことがわかるのも面白い。
武家生まれのナナオに合わせて言えば、多くの学生がすでに元服済みの新成人のような存在で、だから、多くの学生が、生き急いでいるように描かれる。
でもその、若干背伸びした大人ぶりっぽさに違和感を感じないのがいい。
そういう存在の典型が、実は今回の主役?であったリヴァーモアということ。
本巻を通じて描かれるサイラス=リヴァーモアは、ひたすらリヴァーモア家の悲願を達成させようとする老人のようでw
いや、彼もまだ10代のはずだけどさw
それでも家の悲願を背負い込むとそれだけで言動がすべて老けてしまうという不思議w
しかもその悲願は、リヴァーモア家の悲願だけでなく、どうやらサイラス個人の願いでもあった、という、まさかの純愛展開w
まぁ、そうは書かれてないけど、でもそうだよね。
かつての古代魔法文明の知恵の継承のために、若くして殺され、そのまま一種の死霊として数千年?を超えてきた女子「フォウ」に対して、彼女の責務をきちんと果たさせ、それによって笑って成仏させる、というのが、ファウの眠る棺を継いだサイラスの願いだったという話。
他人の骨を奪って回るというサイラスの蛮行もそのための所業であったということ。
それが判明したことで、あれ、こいつもしかしていいやつ?とか思ったし。
実際、サイラスの行動を見て、最終的にサイラスの儀式の死守を誓うオリバーというのが、まさに読者の印象の代弁で、これはそれだけで燃える場面w
あ、そうそう、今回の胸骨奪還作戦では、ゴッドフレイの腹心である上級生たちが、オリバーたち下級生にメンターとして付く、というチーム編成をしていたのだけど、それによって、上級生と下級生の間の交流が自然に描かれていたもうまい。
しかも、その交流を通じて、オリバーは上級生、特にティムまで魅了してしまうのだからw
オリバーという人物がどれだけ人たらしの、その意味では生粋のリーダータイプであることもついで描いてしまう。
そんなリーダー体質だからこそ、裏稼業である復讐劇で上級生を従える「ロード」までできてしまうのだな、と思う。
要するにオリバーにはカリスマがあるということで。
そして、その魅了の能力は、どうやら最後にはサイラス=リヴァーモアにも有効だったようだしw
これはゆくゆくサイラスがオリバーに力を貸す、という展開もあるなぁ、とw
憎まれっ子だったと思われたキャラが改心して主人公サイドに付くというのは、少年漫画の王道だけど、まさにそれを地で行ってる感じw
実際、本巻のロッシやアンドリューがそれだったしw
彼らもなんだかんだいって、もはやオリバーに口説かれ落とされるからねー。
ともあれ、そんな感じで、最初はサイラス=リヴァーモアの討伐として始まった物語が、いつの間にか、サイラス=リヴァーモアを救う話になっていたw
多分、これは、オリバーたち的には、3巻のオフィーリア戦のやり直しなんだろうな、とも思ったり。
あのときは、未熟ゆえオフィーリアを救うことはできなかったけど、その後の経験を経て、今回のリヴァーモアについては救うことができた。
それもまたオリバーたちの成長を示している。
なにしろ「魔に呑まれる」はキンバリーでは当たり前のことだから。
「魔に呑まれる」危機をいかに救うかは、キンバリーで経験する最大の試練。
で、今回はその試練に勝てたということ。
それにしても、異界に続き、古代魔法文明まででてくるとはw
盛りだくさん。
その古代魔法文明の生きる異物(いわばオーパーツ)で、サイラスとフォウの子どもwである「亜霊体生命体(アストラルライフw)」は、間違いなく今後の物語の鍵を握るのだろうな。
どう見てもこれ、魂魄融合の魔法と近い存在でしょw
霊体だし、アストラルだしw
こういう物語の「運命」を導く存在が、ああいう形で登場するのはロマンだよねw
そういう意味では、その運命を切り開いたのが、オリバーの決断だった、ってこともw
あのオリバーの徹底したギリギリまでの寛容の精神は、正直化物じみてきたけどw
でも、すでに復讐劇を通じて少なくとも2人も殺めているのだから、オリバーもすでに「魔に呑まれる」瀬戸際にいるのだろうな。
それもきっとこの後の物語の鍵だよね。
ということで、決闘リーグからの逸脱も含めて、全く予想を超えた一冊だったw
ともあれ、決闘リーグが描かれるという9巻に臨むw
なんかこのサクサク読める感じにちょっと感動してきているw
ホント『エイティシックス』とは大違いだw
今巻は、そのリヴァーモアの計画の追求が中心となる回。
なのでオリバーたちの決闘リーグは一旦おやすみ。
こういうところ、ホント、物語の構成がうまい。
決闘リーグだけ続けたら、物語が単調になることは必至なので、一旦、それは棚上げにして、学生の総力戦でリヴァーモアが奪ったゴッドフレイの胸骨を奪還する作戦が組まれる。
もっとも、総力戦といっても、ゴッドフレイを慕う者たちだけなので、この奪還作戦への参加を通じて、親ゴッドフレイ派と反ゴッドフレイ派の色分けもされる、という展開。
こういうところもうまいよね。
学園モノでの生徒会選挙って、あまりにも定番で、それだけで退屈になるところなのに、この作品では、決闘リーグという祭りを被せることでその退屈さを払拭している。
それだけでなく、決闘リーグを通じて、主には旧家系の学生の家の事情を明らかにすることで、彼らが年齢とはあまり関係のない強欲や狂信を帯びていることもわかって、彼らがただのガキではないことがわかるのも面白い。
武家生まれのナナオに合わせて言えば、多くの学生がすでに元服済みの新成人のような存在で、だから、多くの学生が、生き急いでいるように描かれる。
でもその、若干背伸びした大人ぶりっぽさに違和感を感じないのがいい。
そういう存在の典型が、実は今回の主役?であったリヴァーモアということ。
本巻を通じて描かれるサイラス=リヴァーモアは、ひたすらリヴァーモア家の悲願を達成させようとする老人のようでw
いや、彼もまだ10代のはずだけどさw
それでも家の悲願を背負い込むとそれだけで言動がすべて老けてしまうという不思議w
しかもその悲願は、リヴァーモア家の悲願だけでなく、どうやらサイラス個人の願いでもあった、という、まさかの純愛展開w
まぁ、そうは書かれてないけど、でもそうだよね。
かつての古代魔法文明の知恵の継承のために、若くして殺され、そのまま一種の死霊として数千年?を超えてきた女子「フォウ」に対して、彼女の責務をきちんと果たさせ、それによって笑って成仏させる、というのが、ファウの眠る棺を継いだサイラスの願いだったという話。
他人の骨を奪って回るというサイラスの蛮行もそのための所業であったということ。
それが判明したことで、あれ、こいつもしかしていいやつ?とか思ったし。
実際、サイラスの行動を見て、最終的にサイラスの儀式の死守を誓うオリバーというのが、まさに読者の印象の代弁で、これはそれだけで燃える場面w
あ、そうそう、今回の胸骨奪還作戦では、ゴッドフレイの腹心である上級生たちが、オリバーたち下級生にメンターとして付く、というチーム編成をしていたのだけど、それによって、上級生と下級生の間の交流が自然に描かれていたもうまい。
しかも、その交流を通じて、オリバーは上級生、特にティムまで魅了してしまうのだからw
オリバーという人物がどれだけ人たらしの、その意味では生粋のリーダータイプであることもついで描いてしまう。
そんなリーダー体質だからこそ、裏稼業である復讐劇で上級生を従える「ロード」までできてしまうのだな、と思う。
要するにオリバーにはカリスマがあるということで。
そして、その魅了の能力は、どうやら最後にはサイラス=リヴァーモアにも有効だったようだしw
これはゆくゆくサイラスがオリバーに力を貸す、という展開もあるなぁ、とw
憎まれっ子だったと思われたキャラが改心して主人公サイドに付くというのは、少年漫画の王道だけど、まさにそれを地で行ってる感じw
実際、本巻のロッシやアンドリューがそれだったしw
彼らもなんだかんだいって、もはやオリバーに口説かれ落とされるからねー。
ともあれ、そんな感じで、最初はサイラス=リヴァーモアの討伐として始まった物語が、いつの間にか、サイラス=リヴァーモアを救う話になっていたw
多分、これは、オリバーたち的には、3巻のオフィーリア戦のやり直しなんだろうな、とも思ったり。
あのときは、未熟ゆえオフィーリアを救うことはできなかったけど、その後の経験を経て、今回のリヴァーモアについては救うことができた。
それもまたオリバーたちの成長を示している。
なにしろ「魔に呑まれる」はキンバリーでは当たり前のことだから。
「魔に呑まれる」危機をいかに救うかは、キンバリーで経験する最大の試練。
で、今回はその試練に勝てたということ。
それにしても、異界に続き、古代魔法文明まででてくるとはw
盛りだくさん。
その古代魔法文明の生きる異物(いわばオーパーツ)で、サイラスとフォウの子どもwである「亜霊体生命体(アストラルライフw)」は、間違いなく今後の物語の鍵を握るのだろうな。
どう見てもこれ、魂魄融合の魔法と近い存在でしょw
霊体だし、アストラルだしw
こういう物語の「運命」を導く存在が、ああいう形で登場するのはロマンだよねw
そういう意味では、その運命を切り開いたのが、オリバーの決断だった、ってこともw
あのオリバーの徹底したギリギリまでの寛容の精神は、正直化物じみてきたけどw
でも、すでに復讐劇を通じて少なくとも2人も殺めているのだから、オリバーもすでに「魔に呑まれる」瀬戸際にいるのだろうな。
それもきっとこの後の物語の鍵だよね。
ということで、決闘リーグからの逸脱も含めて、全く予想を超えた一冊だったw
ともあれ、決闘リーグが描かれるという9巻に臨むw
なんかこのサクサク読める感じにちょっと感動してきているw
ホント『エイティシックス』とは大違いだw