こちら側にはエルナンドとその妻のフランシスカの浮き彫りがあります。フランシスカは前述のピサロとイネスの間に生まれた娘です。ということは叔父、姪の結婚というわけです。
ピサロにはこのエルナンドを含めたくさんの兄弟がいますが、すべてコンキスタドールになります。しかしピサロを筆頭に仲間内の争いが絶えず、無事にトルヒーリョに帰りついたのはこのエルナンドだけでした。
なお、インカ滅亡後のインカ女性についは近著「インカとスペイン帝国の交錯」(網野徹哉著、講談社)の「女たちのアンデス史」という章に興味深い記述があります。またこの本は「帝国の内なる敵 ユダヤ人とインディオ」という章もあり大変勉強になりました。