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この旅で経験した一生忘れることのできないことを二つ紹介します。前半は2006年6月2日の再録(一部修正)で後半は初出です。
私はこの写真のすぐ後に起きた事柄を24年たった今も忘れることは出来ないし、一生忘れないでしょう。
この写真はインドのジャイサメールというところのキャラバンサライ(隊商宿)がホテルになった、そして多分その昔、隊商たちのラクダを繋いだと思われる中庭でのものです。私と同行の1人とその中庭のテーブルでビールを飲んでいました。と見ると庭の片隅に父子が地べたに座ってみやげ物らしきものを広げていました。そこで私たちは子供にはつまみ、お父さんにはビールを勧め椅子に座るよう言いました。ところが二人とも椅子に座ろうとしません。地べたに座り込みました。どうやら彼らは不可触民(次回紹介)で同席は出来ないと思ったようです。
同行の人が写真を撮りお父さんに送るから住所を書いてくださいといいました。お父さんは書けません。ホテルの人に書いてもらいました。そのときです。ホテルの人が住所を書いている手元に子供は食い入るような視線を投げかけていました。文字を知りたい、学校へ行って文字を習いたい、学校で勉強したいという強烈な眼差し、顔つきでした。多分プロの写真家であればその一瞬を切り撮っていたでしょう。私には出来ませんでした。しかし私の脳裏には強く焼きつき消えることはありません。今こうしてこの文章を書きながら老いの眼から涙が止まりません。
この旅は最初から少し身構えたことから始まりました。最初のホテルで手持ちのスーツケースをホテルの従業員が運び入れてくれますがチップは事前に支払っているのでその場での支払はしないでくださいと添乗員からの指示がありました。ところが運び入れてくれた従業員は部屋にとどまり立ち去ろうとしません。明らかにチップを要求しているようでした。しばしにらみ合いの状態でしたが、あきらめた様子で立ち去りました。翌日、前回紹介したように釣銭をごまかされました。
ついでにあと二つ。ペットボトルの水を購入しました。ところがそのペットボトルは使用済みに水を入れたものでした。そのことに気づき抗議したところにやりと笑って新品と交換してくれました。両替所でのインドリラの束はホッチキスで止めてありました。
このようにインド人に対して身構えた状態の中で2月1日のエローラの観光(後日紹介)後ホテルに帰ると強烈な下痢がはじまりました。翌日まで続きその日のアジャンタの観光を取りやめホテルで休みを取りました。部屋のトイレのペイパーは2,3回使用するとなくなるなど不便がありました。その時このホテルの従業員(中高生ぐらいの男の子)がいろいろと世話をしてくれました。しかし身構えての気持ちは残っていました。翌日ホテルをバスで出発するときこの少年は手を振って見送ってくれました。その時初めて気が付きました。なぜお礼を言ってチップを渡さなかったのかと。24年たった今も胸が痛み後悔反省をしています。ごめんなさい。