さて、そろそろピールのチョコがけシーズンです。(まだ干し芋が終わらないんだけど)
随分前に写真を撮っておいたネタですが、満を持して記事にします(という程のものでもありませんが・・)。
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果物の砂糖漬け(キャンディド・フルーツcandied fruits、イタリア語でフルッタ・カンディータfrutta candita)のなかでも最高峰のひとつが、イタリアの「ピエトロ・ロマネンゴ Pietro Romanengo」というブランド。
ジェノバのお店で、創立1780年に薬局として創業し、その後砂糖漬け専門店になったのだとか。
創業230年ちょい。
ううむ。すごい歴史です。
当時は冷蔵庫なんてなかったし、果物を、その風味を保ちつつ長期保存出来るようにする技術は貴重だったでしょうね。
ピエトロ・ロマネンゴでは15種類ほどの果物を砂糖漬けにしているそうです。
マンダリン(皮が薄いみかん系のもの)のまるごとや半割、皮の厚い柑橘の半割、皮の厚い柑橘の皮のみ、ビワ、プルーン、イチジク、アンズ、洋ナシ、オレンジ、桃、苺、チェリー, などなど。
(昔ジェノバで手に入った果物全部かも?)。
この中で、マンダリンの砂糖漬けチョコがけをお友達に頂きました。
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パッケージはシンプルな紙包みです。 |
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剥くと、もう1重包まれています。 |
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じゃん! |
食べてみると、マンダリン部分は、思ったより甘すぎないです。
糖衣のシャリシャリが美味しい。
チョコレートは、かなり分厚くかかっていて、日本のチョコとは違う感じ(ちょっと甘さが強い)。
マンダリン部分が美味しいし、糖衣のシャリ感と中のジューシー感のコントラストを堪能するには、チョコレートはなくてもいいくらいです。
昔からつくられてきた、常温保存に耐えるものなので、確かに甘くて、一度に何個も食べるものではないかもしれません。
でも、チョコがなければ2個くらいいけるかも。
日本の羊羹も二切れくらいが適量ですし、そんな食べ方をするものかもしれません。
いろいろ考えさせられる、美味しい砂糖漬けでした。
(Aさんありがとうございます!)
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こちらのお店による砂糖漬け製作のワークショップ(atイタリア)に、Aさんが行ってきたそうです。
お友達のメールをもとに、ロマネンゴの作り方のポイントをまとめてみました。
●基本的な作り方は、浸透圧で糖分を果物の中に入れていく、というもの。
毎日水分を蒸発させて少しづつ濃くしたシロップにフルーツを漬けて徐々に 浸透させていくことで柔らかく日持ちのするシロップ煮ができる。
●ロマネンゴでは、10日以上かけてじっくり糖分を浸透させていく。
シロップのみ別鍋で砂糖を足して煮直して、それをフルーツに戻すというやり方で、フルーツの方は加熱しない。
火を通しながら一日で作ってしまうのと、じっくり10日間以上かけて作るのでは味自体はそれほど変わらないけれど日持ちが全く違う。
ゆっくり作ったものは常温で3か月は優にいけるしシロップ漬け脱気保存だったら何年でももつ。
●一度の仕込み15Kgくらい。
●柑橘類はいわゆるマンダリン、皮の薄いもの以外どんな種類でも必ず皮を剥く。
表面をうすーく削る感じで、リンゴの皮むき器を使ってクルクル、スルスルと剥く。
剥いた皮はマーマレードやジャムを作るのに利用する。
●皮を剥く理由は、ずばり砂糖の浸透をよくするため。
香りはその分多少おちるだろうけれど、それを上回る利点(早く仕上がる)がある。
まるごとだけでなく、柑橘の皮のみのシロップ煮のときも表面を削る。
●まるごと煮の場合、皮を剥いた後に銅の剣山みたいのでブスブス刺す。これも砂糖の浸透をよくするため。
●皮を剥き穴をあけた柑橘は、水で数分間茹でる。これをお湯からあげ、温かいシロップ(40%)に浸す。
12時間後にシロップのみ煮立て、フルーツに戻す。12時間おきのこの作業を、少なくとも10回繰り返す。
●最後に仕上がったものを、グレーズがけして出来上がり。
グレーズは高濃度の砂糖水を新たに作り、これを再結晶化させてフルーツをそれにくぐらせる。
これが乾いて表面がカリっとなる。
最後のグレーズがけの部分の実演を、お友達の写真とともに紹介させて頂きますね。
(以下の写真の転載はご遠慮下さいね)
いろいろ疑問があります。
◎半割オレンジ煮に浸透圧で砂糖を染みこませるのは分かるのだが、初期段階の加熱は数分で十分なのだろうか?
生のオレンジの細胞は結構しっかりしていて、結構しっかり煮て細胞壁を柔らかくしないと、脱水されるばかりで細胞や組織内に砂糖は入っていかないと思うのだが・・。
◎じょうのう(房のふくろ)は柑橘の種類や個体差によっては、結構丈夫で固いものがある。
じょうのうが薄いオレンジの品種を選んで使っているのだろうか。?
最初に数分煮るだけで、柔らかくなるのだろうか?
砂糖を染みこませることで柔らかくなる?
◎砂糖衣がぱりっとし続けているためには、中味のフルーツの糖分濃度(または水分濃度の低さ)もそれなりに必要のはず。かなり大量の砂糖を使っているはずだが、食べるとそうでもないのは何故だろう。
ちゃんとゼリー化すると、砂糖衣が溶けないのだろうか。
(以前グラニュー糖をまぶして、それが溶けたことがある。)
◎自分で作るときは干したりするが、ロマネンゴはきっと干さないのよね?
まだしばらく研究しないといけません。
目も眩むような砂糖の使用量にも、かなり怯んでおります。
まずは水100g、砂糖400gくらいで再結晶化の練習を・・。うぉぉ、やっぱ水50g、砂糖200gにするかな・・・。
■参考情報
ピエトロ・ロマネンゴ ホームページ (英語/イタリア語)
輸入代理店 ノンナ・アンド・シディ によるピエトロ・ロマネンゴ商品紹介ページ
楽天のハイ食材室 でも、ピエトロ・ロマネンゴのフルーツ砂糖漬けを販売しています。
同じワークショップに行った方のブログ (イタリア語)
これ面白いね、食べるのは大変だけど作るのは楽しそう、
かずさんの所からオレンジが来るのでそれではできないだろうか、じょうのうが固いかな、苦みはどだろう。
作り方マスターして教えてください来月中にね!。
美味しく出来たら沢山送り付けちゃう。(笑)
私はやった事が無いのですが、厚目の皮は表面を剥くのが良いのですね。来年獅子柚子で試してみたいです。
今年は実家の庭の柑橘が豊作なのと、頂き物が重なって沢山のコンフィが出来ました。
チョコ掛けの準備も少しずつ進めていて、数種類の柑橘詰合せが出来そうです。
パウンドケーキに焼き込んでも美味しいですよね。
所でfujikaさんはコンフィのシロップはどうしてますか?
捨てるのは勿体無いし…と思い、うちではパウンドケーキに砂糖の何割かをシロップに置き換えて焼いたら、しっとり感が増した気がしました。
柚子大根やマリネの等の甘酢を作るのに入れてみたら、意外に美味しかったです。
他に何か良い使い道が有ったら、是非ご教授下さいませm(__)m
http://blog.goo.ne.jp/fujika_0000/e/5f2a9cab0cebe3fa49c6dd4ba84e403e
(あの時は皮は剥かなかったけれど)
糖衣がけは、うーむ、うまくいくかなあ。
中味のゼリー化がちゃんと出来ていないと、例え糖衣がうまくいっても溶けますよね。
中味を煮る際に、ペクチンを少し足してしまおうかなあ。
何しろ大量の砂糖を使うので、ひるみますよね。
来月中にマスターするのは多分無理ですー。
のろのろカメの私だと、5年計画くらいです。
獅子柚子の場合は皮が柔らかいため、煮ていったらぐずぐずに煮崩れそうになりました。煮る加減に気をつける必要があります。
(収穫時期などものにもよるかもしれませんが)
晩白柚は絶対剥いた方がいいですよね。
ものによっては、煮る最中は表皮をつけておいて、干す際に薄くけずったりしています。
表皮がないとやはり口当たりがいい気がします。
コンフィのシロップは、勿論とっておいて使いますよ~。
私はママレードを作る際に入れることが多いです(結構沢山消費できます)。その際は一応、オレンジ色の柑橘と黄色の柑橘は分けて使っています。
新しいピールを作る際に少し入れたりも・・・。
ジャークソースやチャツネ、ピクルス、ケチャップを作る際にも適量入れてよさそうです。
ダメなのが、お酒。
梅酒だったかな、甘みづけに味的には合いそうだと思ったのですが、アルコールの脱水力で、ペクチン液であるシロップが脱水され、全体がモロモロになってしまいました。
びっくり!