熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

変わっていない株主総会・・・三井住友FG

2005年07月01日 | 経営・ビジネス
   今年は2つのメガバンクの株主総会に出てみた。最初は、みずほFG,次は三井住友FGであった。

   みずほFGの方は、興銀の頃からなので結構長いが、みずほになってからは、東京国際ホーラムに会場が移り、何となくショウ化した感じになった。
   大衆化した分、程度の低い一般株主の質問が多くなって、緊迫感が希薄に成ってきている。
   今回は、所用があり一般質問が始まりかけた頃に会場を出たので詳細は分からないが、会社説明の中に、グローバルコーポレート、グロバルリテール等々グローバルが頻発し、その上、舶来のカタカナ文字が矢鱈に多い。
   更に、トップマネジメントとして一番重要な会社の方針「新たなコーポレートマネジメント戦略」において、全く意味不明のChannel to Discovery Plan を着実に推進して、企業価値の更なる向上に邁進すると言うのだが、何をするのか分からないし、説明責任を果たしているとは思えない。
   土地の地元企業に密着して必死になって頑張っている地方銀行と比べて、パーフォーマンスが、時には、劣っているみずほの行員のどれほどが、グローバルバンキングなりグローバルマネジメントなり、グローバルの意味が分かっているのか、甚だ疑問である。
   昔、バンカメを真似て、ピープルズバンクと称して意味も分からずに突っ走って、経営が悪化して不良債権の処理に蹉跌し、消えてしまった銀行がある。

   一方、三井住友FGであるが、大手町の古色蒼然たる本部ビルで総会が開かれ、旧態依然たる接客を受けて会場に入る。
   女性株主が、ひな壇に居並ぶ多くの役職員を見て男ばかりで面白くないと噛み付いていたが、西川社長は、役員席の人の多さに質問に回答できるように部長以上が待機しているのだと答えていた。質問には、一切他の役員に振ることなく西川社長が答えていたが、何故、そんなに多くの行員を株主に対置してひな壇に座らせなくては成らないのか不可解である。

   会社に意見した株主は、3人。そのうち一人は知識ヒケラカシ型、他の一人は、元行員で、上司の不誠実な指示により訴訟事件を引き起こした株主の会社糾弾、もう一人は、会社の不祥事を暴露して経営陣を追求する古い形の総会屋風の株主、であった。
   問題は、最後の総会屋風の株主発言に対する会社の対応。
   今日の経営悪化の元凶は磯田頭取、西川社長はその子分だ云々と発言するのであるから、会社としては面白くないし聞きたくもないので、西川社長が、質問内容を簡潔に、と言いながら、何度も途中で株主の発言に水を差す。(発言内容は、新聞等で報道されていて既知のことが大半であったが。)
   発言途中で、後方から飛ぶ野次は、昔の会社側総会屋の野次と全く同じ、西川社長の静止発言をバックアップする会場前方の株主の大拍手は、「異議なし、賛成。議事進行」と叫ぶ昔の社員株主の反応と全く同じ、忘れていた古い映画を見ているような気がしてしまった。
   総会前日、ご苦労にも昔風のリハーサルをしたのであろうか、この総会屋風の株主は、時間時間と言うなら一番最後に質問すると言って苦笑しながら席に戻ったが、結局諦めてしまった。

   一般株主との質疑応答は約1時間で終わり、株主総会も1時間50分位で終わった。
   開かれた総会と言われながら、多少悪意のある質問でも、この程度なら、何故、受けて立てないのか。2時間弱で終わる株主総会なら、質疑応答に制限などする必要は元よりないと思う。
   金融庁との軋轢は兎も角、経営悪化により膨大な公的資金を導入し、途中で大幅な業績の下方修正を行っており、また、銀行協会会長として重責を担った西川社長には、退陣に当たって、少なくとも十分に説明責任を果たす責任と義務がある。
   トップバンクとしての資質を具えたコーポレートカルチュアに変わるのであろうか、何れにしろ、コーポレートガバナンス以前の問題であると思った。

   余談ながら、最後の興味深い質問。
   リストラ・合理化等の経営努力によってサービスが悪化したとの発言が多かった。この主婦兼中小企業経営者の株主は、治安が悪いので貸し金庫を使っているが、毎回鍵が開かなくて30分以上掛かっていて仕事にならない、何度も、開くようにカードを変えてくれキイを変えてくれと言っても善処してくれない、(こんなこと信じられますか)と言う。
   限りなくゼロに近い金利しか払わない銀行に対して、庶民は諦めて銀行を金庫代わりに使っている、その銀行がカードの記録を盗まれ他人にカネを払い、またその上、スムーズに自分の金さえ出せない、と言う。カスタマーサティスファクションと言う言葉が銀行にはあるのであろうか。
   私自身は、ゼロに近い金利で店を開いていること自体が商業道徳に反していると思っているし、かっては優秀な新卒者の殆どがメガバンクに入行したが、その銀行員の誇りが一体何処にあるのか疑問にも思っている。
   
コメント
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