熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

文化三昧ミラノ・ロンドン旅・・・6 ミラノ・スカラ座のロッシーニ「シンデレラ」

2005年07月21日 | 欧州紀行(文化三昧ミラノ・ロンドン旅)
   スカラ座は、2年前に来た時には、改修工事用の板囲いに囲まれていて、オペラは、郊外のアルチンボリ劇場で公演されていて、バーンスティンの「ウエストサイド物語」を観た。
   大々的な改修工事が昨年末に終わって、盛大にオープニングされた模様だが、しばらくアルチンボリで公演されていて、漸く、この月初めから、新装成ったスカラ座に公演が移った。
   
   旅程が決まってインターネットでスカラ座を開いた時には、既に、プッチーニの「ラ・ボエーム」は完売で、数日間のロッシーニの「チェネレントーラ(シンデレラ)」が、僅かに残っているだけであった。
   私は、迷うことなく、7月6日の残り席から一番よい席をクリックした。数日して、ピラピラの入場券が一枚入った封筒がスカラ座から送られてきたが、それで十分であった。

   余談だが、リカルド・ムーティが日本でスカラ座公演で、「オテロ」を振った時、2回行ったが、私は、アバードやムーティの場合、ウイーン・フィル等オーケストラを振っていたのを何度か聴いているが、やはり、イタリア出身の指揮者の真骨頂は、オペラだと思っている。
   残念ながら、シノーポリはフィルハーモニアで、シャイーはコンセルトヘボウで何度も聴いていたが、イタリアオペラを観たかったし観たいと思っている。

   もう何十年も前になるが、始めてミラノに来た時には、アバード指揮のロッシーニの「アルジェのイタリア女」を観た。今回もロッシーニだが、私は、あのうきうきする様な軽快なテンポのロッシーニが好きで、これをスカラ座で楽しめるのは望外の喜びであった。
   アバードが1982年まで4期、このチェネレントーラを振っており、2001年から、ブルーノ・カンパネラに変わっている。
   チェネレントーラは、少し低い女声のコントラルトで、あのシミオナートやテレサ・ベルガンサがこのスカラ座で歌っている。
   今回は、前回に引き継いでソニア・ガナッシが素晴らしいタイトル・ロールを歌っていて楽しませてくれた。

   私の席は3階のグランドティアにあたる中央少し左に寄ったボックス席で、6人席の4番目、幸い舞台よりの2列目だったので舞台が良く見えた。
   3人がアメリカの若い女性、1人がイタリア人紳士、もう1人が日本人シニアでオペラ好きの奥さんとお嬢さんに付いてきたオペラ音痴だと言う。
   結局後ろのイタリア男は、最後まで、立ってみていた。

   このオペラ、有名なディズニーのシンデレラと違うのは、継母が父親に代わり、ガラスの靴が腕輪に変わる。
   面白いのは、途中まで王子が従者と入れ替わって居ること。シンデレラを苛め抜き、王子でない従者に入れ揚げる父・姉2人の涙ぐましいどたばたとどんでん返しが実にコミカルで、父親役のシモーネ・アライモを始め芸達者な歌手達が、ジャンピエール・ポネルの定番となっているモノ・トーンの舞台をバックに存分に駆け回る。
   ロンドンで観たアシュトン振り付けのロイヤルバレー「シンデレラ」の舞台を思い出した。

   休憩の時、前回は、仕切りの幕を開いて隣接のスカラ座博物館に自由に入れてくれていたが、今回は、閉鎖されていた。翌日、ミラノを発つ前に駆け込んだが、実に素晴らしい展示館である。

   オペラが跳ねてスカラ広場に出ると電光に映える優雅なスカラ座が浮かび上がる。
   まだ遅いサパーを取っている客が居るが静かになったエマヌエーレ2世のガッレリアを通り抜けて、ドウオモ広場に出る。
   歩けばホテルまで10分、心地よい夜風を楽しみながら歩き始めた。
   翌日からのロンドンでのロイヤル・オペラや、ロンドン塔でのドニゼッティの「アンナ・ボレーナ」が、楽しみである。

   
   
コメント
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